最終更新日 2024.8.13

買物潮流の見立てと今の生活者にとってのいい買物体験とは?(買物欲で捉える今の潮流と未来の兆し~買物の“主導権”を再び取り戻し始めた生活者を紐解く vol.3)|ウェビナーレポート

2024年4月11日、博報堂買物研究所の生活者調査から見えた、新たな買物潮流や買物欲のツボを紹介するウェビナーを実施しました。  

EC通販の普及、SNS利用の拡大、コロナ禍の影響などによって、買物の仕方が大きく変化するなか、博報堂買物研究所設立20周年を機に行った「買物欲大調査」。多くの企業が注目する「買物」というテーマということもあり、沢山の方にご視聴いただきましたので、その模様をお伝えします。  

ウェビナーでは、生活者のニーズや買物行動が掴みづらくなっているなか、今の時代の買物行動の変化や、“買いたい”気持ちの作り方、新たな買物欲のツボなどについて紹介しました。 

Vol.3の本記事では 、ゲストとしてお招きした、日経BP社の佐藤氏と光文社の爲田氏とのパネルディスカッションの模様をご紹介します。 

 

前編はこちら⇒ウェビナーレポート|今、買物欲をつかんでKEEPするツボとは(買物欲で捉える今の潮流と未来の兆し~買物の“主導権”を再び取り戻し始めた生活者を紐解く vol.2)

買物欲マーケティングにご関心のある方へ
博報堂買物研究所では、「買われる」体験設計から逆算した、販促企画・広告・商品開発・スタッフ研修などをカスタマイズのうえ、様々な支援を行います。買物体験デザインに関心をお持ちの方は、ぜひサービス詳細をご覧ください。

目次

パネルディスカッション1|買物潮流の見立てと今の生活者にとってのいい買物体験とは? 

パネリスト: 
佐藤 央明 氏(株式会社日経BP トレンドメディアユニット長)
爲田 敬 氏(株式会社光文社 第一編集局担当取締役) 
瀧本 晃裕(博報堂買物研究所 研究員)*司会進行
河野 美咲(博報堂買物研究所 研究員)

(以下、敬称略) 

瀧本 続きまして、有識者の皆様とパネルディスカッションを通して考えていきたいと思います。本日は、ヒット商品の変遷の専門家として、日経BPトレンドメディアユニット長および日経クロストレンド発行人の佐藤様、ライフスタイルの専門家として、光文社第一編集局担当取締役の爲田様にもお越しいただいています。

佐藤 私は「日経トレンディ」2005年からヒット商品の特集を担当してきました。毎年12月号で発表する「ヒット商品ランキング」を担当し、誌面では翌年のヒット商品を予測するという特集も行っています。

加えて、「日経クロストレンド」というBtoB向けのマーケティング関連媒体も担当しているので、本日はそこで培った知見をお話できればと思います。

爲田 光文社の爲田です。30年近く、女性誌の企画編集に携わっています。私の会社では1975年にJJ」という雑誌を創刊して以来、現在に至るまで、様々な年齢で切ってみたり、趣味趣向で切ってみたり、たくさんの女性誌を発行してきています。

中でも私自身は、アラフォー女性向けの「STORY」という雑誌の編集長を長く務めてきました。本日は、40~50代女性向けのマーケティングということを中心にお話できればと思います。 

瀧本 どうもありがとうございます。本日のテーマは2つあります。まず1つ目のテーマは、「今の生活者にとってのいい買物体験とは何か?」。そして2つ目が、「モノとライフスタイルの両面から見ていく、生活者が求める未来の買物体験とは何か」です。

では早速、1つ目のテーマからですが、まずは生活者がロングスパンでどのように変わってきたのかについて考えていきます。光文社の爲田さんは30年近く女性誌を通して生活者を考察されてきたと思いますが、女性の理想のライフスタイルはどのように変化してきたのでしょうか?

女性誌の表紙から読み解く、買物意識の変化

sol_id84_01株式会社光文社 爲田 敬 氏

爲田 私のキャリアの中で長いのが、雑誌「STORY」です。今回、その表紙の変遷を見てみたのですが、2002年の創刊当時は、バブルの余韻が残っていて、読者も今の自分よりワンランク上げたいという気持ちでファッションを選んでいたことがわかります。

例えば、靴やバッグはハイブランドが欲しい、洋服は百貨店で買いたいという志向です。それが2008年のリーマン・ショックを契機に経済の低成長が始まって、自分の所得も夫の所得もなかなか上がらないという現実が生まれます。

そこに節約モードも入ってきて、加えて海外のファストファッションブランドが登場して、リーズナブルでありながらトレンドも押さえたブランドが上陸して、爆発的なブームになりました。

実際、この頃の表紙を見ると、“健全なおしゃれは、健全な価格に宿る”という見出しが躍っています。いわば安いことがエンターテインメントで、それをイベント的に楽しむ買物が主流になったわけです。

それが2013年頃になると、本当に自分が使える価値があるものでないと安くても駄目だ、という時代が来ます。プレミアムプライスという言葉を多用していたのもこの頃ですね。

そして2022年、コロナ禍が明けると、多少高くても自分がずっと使えるもの、ずっと価値が続くものを買うのがいい買物だ、というように意識が変わってきました。

さらに言うと、多少高くても最初買ったときのときめきが、長続きするような買物をしたいというモードになってきたわけです。ある意味、未来を見据えた買物に変化してきているのがこの頃だと思います。

しかも、今はSNSが出てきて、見栄を張るとか質が伴わない贅沢は、見透かされる時代です。お金のあるなしではなくて、ファッションもメイクも暮らしも、満遍なく全方位でセンスがいい人が、素敵と言われてリスペクトされるように変わってきています。雑誌を作っていて、そのような時代の変化を感じています。

自己投資としてのファッション

瀧本 なるほど。身の丈に合いつつ全方位でセンスがいいことが、女性たちの理想になっているというわけですね。では、そうした状況がある中で、今、生活者にとってのいい買物って、どんなものになるでしょうか。

爲田 実は、今、日割り計算という考え方が、ファッションを選ぶ時の物差しになっていると耳にします。

たとえば、ファッション性が高くて質もいい、高級ブランドの5万円のジャケットが気になったとします。今、ジャケットって1万円以下でも買えたりしますよね。

このジャケットを、週1の頻度で3シーズン、5年間着たとすると、1日あたりわずか280円ほどだと計算するわけです。つまり、1日280円で5年着られて、自分が素敵な気分でいられるなら、いま5万円出した方が得だという計算です。 

他にも、ファイナンシャルプランナーのように、買物の戦略を考えている人がどんどん増えているようです。現に、そういう計算をしてくれるアプリもあるみたいですよ。 

河野 将来を見据えた賢い買物は、先ほどご紹介した買物欲の指標でいうと、「自己投資」というツボに当てはまると思います。

しかも世代的に見ると、Z世代でも同じような傾向があるのではないでしょうか。私自身、Z世代ギリギリの年齢ですが、周囲を見ても、少し高いけれど長く使えるなら、むしろ安いのではないかという考え方や、趣味が変わって要らなくなっても、リセールで売れるので今買うのがお得という感じで、買物の仕方も変化していると思います。

あと、先ほどお話いただいた、全方位ハイセンスということで言うと、企業側としても一貫性を持たせるために、ストーリー性とか没入感を通して、商品やブランドの世界観を演出していくのが重要なのではないでしょうか。

没入感の作り方

佐藤 実は、光文社の女性ファッション誌「CLASSY.(クラッシィ)」 が面白いことになっているということを記者が聞いて、私が担当する媒体、日経クロストレンドで取り上げさせていただいたことがあります。

その記事自体は、着回しの特集なのですが、突然、“ゾンビに襲われる1ヶ月”というストーリーを展開しているのです。

しっかりとした着回しのコンセプトを盛り込みながら、ぶっ飛んだストーリーを見せて、SNSなどでのバズリを狙った。それと同時に、「没入感」は今年のキーワードだと思っているのですが、その意味でCLASSY.の記事は、イマーシブ的な要素が満載なうえに、読み物としても面白い、着回しのテクニックも学べるということで、たいへん勉強になりました。

爲田 取材していただき、ありがとうございます。少し補足させていただくと、編集者はストーリーを作るときに、没入感や共感性について考えていて、設定がブラック企業の職場だったり、恋愛もなかなかうまくいかなかったりと、読者一般の現状の不満も盛り込んでいるのです。

瀧本 単にストーリー性といっても、編集する側では様々な工夫をされているのですね。

Z世代の損失回避ニーズ

瀧本 では次に、モノ視点から、今の生活者にとってのいい買物体験について考えていきます。佐藤さん、何か顕著な兆しはありますか?

佐藤 最近、レトロブームと言われていて、Z世代が昭和を楽しんでいるという現象がありますが、2017年までは実はあまりなくて、かたまりとしてレトロ系ヒットが見え始めたのが、実はこの6年ぐらいのことです。私は、今注目を集めているZ世代が消費し始めたタイミングと、重なるのではないかと捉えています

Z世代は物心ついた時からデジタルデバイスに囲まれていることもあり、良い意味で古いものと新しいものの区別がついていません。

例えば、音楽アプリで音楽を楽しむ時にも、流れてくる曲を古いか新しいかという基準で聴かない。古い曲も最新曲も同じ土俵で良し悪しの評価をしています。新しいからいいのではなくて、本質的にいいモノを見極める力が強い世代とも捉えることができるかもしれません。

もう1つ、レトロブームの特徴として、Z世代の「損失回避をしたい」というニーズがあると思います。つまり昔のものだったら間違いない=損しないという発想です。

逆に新しいものが出ても、それが良いものか悪いものか分からないから怖いと考え、昔に流行っていてリバイバルしたものや、古くからあるトラディショナルブランドだと安心だという考えで、買うときの背中を押すというようなことが言えるのではないでしょうか。

河野 買物研究所の定性調査やインタビュー調査の中でも、損失回避のトピックが本当にたくさん出てきました。その中で面白いなと思ったのが、口コミの見方です。

ふつう口コミは、件数がどれぐらいあるかとか、全体の評価はどれぐらいかと見ると思うのですが、最近はむしろ悪い口コミをチェックするという話があります。

悪い口コミ自体が共感できるものであれば、失敗の確率が高いので買わないとか、反対に、悪い口コミに自分が共感できない時には買うというように、悪い口コミを判断基準にしながら、買物の損失回避をしている傾向もあるようです。

佐藤 まさにZ世代を中心とした日経クロストレンドでも、UGCというキーワードが人気です。要は“User Generated Contents”=ユーザー生成コンテンツというものです。

若い人々に応援してもらうような自然発生的なUGCを作るには、どうすれば良いかと皆さん頭を悩まされていて、まさにそういうユーザーの推奨を今、企業側もすごく欲しがっています。私もマーケティング媒体として、すごく注目しています。

瀧本 そうした損失回避に対応した誌面作りを、何かやられていますか?

佐藤 日経トレンディでも、生活者のそうした傾向を意識して誌面作りをしています。生活者に代わって様々な商品を使って比べる、その中で良いところと悪いところをフラットに評価する記事を作っています。

商品の評価は主に、「編集部メンバー」と「専門家」の意見の2本立てで行います。中立的な人としてお墨付き的な「専門家」の感想や意見をいれることで、評価の納得性を担保しています。

瀧本 なるほど。生活者の損失回避のための、根拠や納得感を作ることが非常に大事だということですね。ありがとうございました。

パネルディスカッション2|モノとライフスタイル両面から見る「生活者が求める未来の買物体験」

瀧本 それでは2つ目のテーマ、「モノとライフスタイルの両面から見る、生活者が求める未来の買物体験とは何か」に移ります。

まず、日経BPの佐藤さんにお伺いしますが、毎年ヒット商品ランキングを作っていらっしゃって、直近注目していることはありますか?

仕事や生活に入り込んできたAI

sol_id84_02株式会社日経BP 佐藤 央明 氏

佐藤 1つ目は、ChatGPTですね。これは「2023年ヒット商品ベスト30」の1位だったのですが、編集担当の私たちにとってはすごく画期的で、そもそもヒット商品のランキングの中に、仕事で使えるアイテムが入ることは、最近ではほぼ無いことでした。

20年ぐらい前には、仕事で使うパソコンの新商品がヒット商品の中に色々と入っていました。ところが最近は、パソコン自体を会社で支給されることが多いのと、どのパソコンも似た同じようなスペックになっているので、あまり差異がなくなっていて、ヒット商品が生まれにくくなっていたのです。

そんな状況の中で、ChatGPTが出てきたのはとても画期的ですし、これからの買物体験の潮流を読み解く上でも注目していきたいです。

これからは買物は「検索型」から、AIに相談して提案してもらう「提案型」に変化する、そんな予感がします。買物シーンにも、ChatGPTがどんどん入り込んでくるのではないでしょうか。

 河野  日本でも、買物のAIを活用した事例がいくつか出てきてはいますが、海外の事例が特に面白いと思います。

例えば、ChatGPT上で、夜ご飯のレシピを相談するようなことは普通になるかもしれません。メニューの提案はもちろん、家の冷蔵庫にある食材をチャットで知らせると、足りない食材を教えてくれて、それを全部カートに入れると決済のリンクが送られてきて買物完了、みたいなことができるようになっています。

また、博報堂買物研究所の独自調査で、どんな買物サービスが魅力的に感じるかについてアンケートしたところ、商品の値下げ、在庫の状況、本物偽物の判定、質問や疑問に対する回答、といったAIで解決できそうな項目が上位に上がってきています。

その一方で、魅力度が低かったサービスが、“他者に選択を任せて自分の負担が少ない”という項目でした。こうした結果から、AIを使って便利になるのは良いものの、ある程度の「選択感」を残すことも重要だと考えています。

 佐藤 おっしゃる通りで、人間は全部任せると何もやることがなくなって、それはそれで嫌だと感じるものですよね。

 偏愛に引っかけて買物欲を刺激する

瀧本 先ほどのパートでご紹介したように、生活者は買物したい気持ちが逃げないように「信頼感が担保されていること」や「損しないこと」を重視しているようです。

その一方、SNSの分析で伸長しているのは、買物したいという気持ちを高めてくれる「買物欲のツボ」という話もあります。未来の買物体験を考えると、ここからどんなことが言えるのでしょうか?

 佐藤 パート1で、Z世代の特徴の1つとして、損失を回避したいためにレトロ的なものを購入するという話をしましたが、それだけだと買物に未来がない。損失回避は結局、マイナスをゼロにすることなので、ゼロをプラスにすることが、未来の買物体験には必要だと思います。

そうした時に注目したいのが、「偏愛性」というキーワードです。例えば、今は「推し活」がブームですが、引っかかりの部分や、好きという気持ちを何に変換しているかは、それぞれ人によって違っていて、しかも尖っていると思うのです。

それも、こちらの想像を超えた尖り方をしている。情報も多いので、ますます偏愛が肯定される世の中になってきています。

私が担当する日経トレンディの話をすると、いつもはヒット商品・お金・健康・家電などを定番的に取り上げているのですが、最近「うまい魚の最新案内」という特集をやってみたのです。挑戦的な試みでしたが、お読みいただいた幅広い方から良い評価をいただきました。

そのときの誌面の作り方として気をつけたのは、様々な方の偏愛に引っかけるということでした。例えば、うまい魚の選び方・最強の買い方という情報の他に、調理グッズとか、回転寿司といったトピックを盛り込んだのです。

とくに偏愛的な要素が強い回転寿司の比較では、3人の選者の方に出てもらい、マグロの味を較べてもらいました。すると、マグロの種類まで分かってしまい驚きました。こうした編集の経験から、今後も様々な方の偏愛の引っかかりを作って、読者のうんちく的なニーズを満たす企画をやっていきたいと考えています。

爲田 日経トレンディで魚の特集をやるという意外性そのものが、とても引っかかりがありますよね。普段馴染みのない読者も、回転寿司にはよく行くので読んでみようかと思うし、その実験心のかたまりと、日経新聞社の精緻な分析力とのマッチングもあり、とても素晴らしい企画だと思います。

雑誌の作り方のノウハウで言うと、光文社は日経トレンディとは違うアプローチで、“プロに聞くな”というメソッドでやっています。

美味しいお寿司屋さんを紹介するときにも、築地の仲買人じゃなくて、年間100回ぐらい社長の会食をアレンジしている人の意見を取り上げるようにしているのです。

例えば、自分でアパレルのブランドを起こして、年間すごい回数の会食をしている、CLASSY.やVERY世代の読者に近い年齢の女性を通して、共感性とズレを狙うというような誌面づくりをやっています。

瀧本 様々な引っかかりを作ることや、ちょっとズラしていくことで、新しい読者を獲得していくわけですね。これまで、モノ視点で未来の買物体験がどうなっていくのかということを語っていただきましたが、ライフスタイル視点ではいかがでしょう?

ストーリー性で共感を得る

爲田 先ほど、AIを使った買物という話がありましたが、その一方で、やはり共感性とかストーリー性は大事だと思います。

例えば、STORYで読者に人気のブランドの特集を組んだのですが、そのブランドのディレクターとプロデューサーは、若い頃に一緒に遊んでいて、ファッションも楽しんでいた。結婚や子育てをひと通り経験したあとで、もう1回自分たちの人生を取り戻したいという気持ちで、ファッションのECを立ち上げるというストーリーを描いているのです。

読者自身も、そのストーリーの中に入り込めて、彼女たちの気持ちもよくわかるということで、この人たちの服を着てみようと思い、サイトでチェックしてもらうという流れを作っています。このようなストーリー性は、とくに今の時代は重要になってくるように思います。

この女性2人を取り巻く環境も、様々なことがデジタル化されつつ、アパレルという世界はまだ体育会系だったり、おじさん社会という部分も多いと聞きます。だから、ただの仲良しの起業ではなくて、女性として多くの苦労があり、そうしたところも読者の共感を得やすいストーリーになっているのです。

 瀧本 ストーリー性が重要というお話ですが、企業はどのように対応すれば良いのか、何かヒントがありますか?

爲田 モノがメディア化しているということで、最近面白いなと思ったのは、SNSでのカレーのトピックです。SNSを見ていると、人気の店に行ったというトピックには、いいね!が3つぐらいしかつかないのに、銀座の老舗カレー店と某コンビニがコラボした商品のトピックには、いいね!が100ぐらいついているのです。

発信者のインフルエンサーを飛びこして、フォロワー同士でコメントを送りあい盛り上がっていました。こうした現象を見た時に感じたのは、商品=モノがすでにメディア化しているということです。

つまり、モノを媒介にして、様々な人がつながっている。カレーが好きという偏愛性が人と人をつなげていき、世の中を面白くできる、そんな希望が持てました。

瀧本 非常に面白い話をありがとうございました。では最後になりますが、本日の感想をいただければと思います。

爲田 佐藤さんのAIの話は、とても新鮮でした。AIも自分の偏愛やこだわりで楽しく買物できるツールになると思いますし、モノのメディア化というお話もしましたが、総じて、買物をしてどんどん世の中が豊かになり、面白くなってほしいです。

今、世の中が閉塞していると思うので、モノやサービスがきっかけとなって、人と人とのつながりが生まれ、社会や国自体が面白くなっていければ良いなと思います。

佐藤 まず、STORYの表紙の変遷がとても面白かったです。私も自分が担当する日経トレンディのヒット商品ランキングを15年分くらい並べてみると、結構見えてくるものがあると思います。

同じように、どんな企業でも歴史を持っていて、その時に手掛けた施策やブランドがあると思います。一度それらを並べてみると面白いかもしれません。

そして、当時どんな思いで作っていたのかを思い返してみることで、優れたブランドや技術を掘り起こせるのではないでしょうか。今はZ世代を中心にレトロブームなので、過去の資産を掘り起こすことで、買い手にとっても、新しい買物を体験する1つのきっかけになるかもしれません。

瀧本 爲田さん、佐藤さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。本日のパネルディスカッションは以上で終了とさせていただきます。

 

レポート続編はこちらから⇒ウェビナーレポート|これからの買物の兆しと3つの買物欲のポイント(買物欲で捉える今の潮流と未来の兆し~買物の“主導権”を再び取り戻し始めた生活者を紐解く vol.4)

プロフィール

日経BP社_佐藤様

株式会社日経BP
トレンドメディアユニット長
「日経クロストレンド」「日経トレンディ」「日経エンタテインメント!」「日経デザイン」 発行人

仙台市出身。出版社勤務後、2004年日経ホーム出版社(現・日経BP)入社。「日経トレンディ」「日経ビジネス」記者などを経て、2017~2019年に日経トレンディ編集長。12月号恒例の「ヒット商品ランキング」デスク歴は約10年。2021~2022年に「日経クロストレンド」編集長。2023年より現職。

光文社_爲田様

株式会社光文社
第一編集局担当取締役

1987年3月上智大学外国語学部卒業。同年4月株式会社光文社入社 宣伝部配属。その後1995年JJ編集部、2001年DIAS編集部デスク、2004年企画広告部副部長、2006年STORY編集部副編集長、2011年STORY編集部編集長、2017年第四編集局長兼STORY編集長を経て2020年8月より現職。1995年JJ編集部への配属以来、現在まで30年近く女性誌に関わり、ファッション、美容はもとより時々刻々と変わる女性の価値観やその背景にある社会の移り変わりを見つめ続けている。

買物研_瀧本晃裕

株式会社博報堂
博報堂買物研究所

2017年博報堂入社。入社以来一貫してマーケティング部門で幅広い業種のブランドマーケティング戦略立案に従事。2022年より現職。ショッパーインサイト研究及びソリューション開発を担当。

買物研_河野美咲

株式会社博報堂
博報堂買物研究所

外資系消費財メーカーを経て、2023年博報堂入社。リブランディングのための包括的なリサーチや、未来創造に向けたショッパーインサイトの発掘など、幅広いテーマの調査研究および、ショッパーマーケティング領域のソリューション開発を担う。

 

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BIZ GARAGE 編集部

ビジネスをとりまく環境の大きな変化により、最適な手立てを見つけることが求められる現代。
BIZ GARAGEのコラムでは、生活者の心を動かし、ビジネスを動かすために、博報堂グループのソリューションや取り組みのご紹介、新しいビジネスの潮流などをわかりやすく解説しています。

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