コールセンターのアウトバウンド業務の活用は、企業がビジネスを拡大する上で重要です。
新しくアウトバウンド業務を立ち上げるにあたって、目的や実施策の策定に迷う営業部門の方もいるでしょう。また、アウトバウンド業務から得られる情報を、マーケティングにどう活用できるのか疑問に思うマーケティング部門の方もいるかもしれません。
そこで本記事では、アウトバウンド業務で実施できる業務内容と、アウトバウンド業務によくある課題、成功させるためのコツを解説します。
目次
コールセンターのアウトバウンドとは?
コールセンターのアウトバウンド業務で成果を上げるためには、アウトバウンド業務について深く理解することが重要です。ここでは、以下2つの点から、コールセンターのアウトバウンド業務について解説します。
- アウトバウンド(発信)業務とは
- インバウンド(受信)業務との違い
それぞれについて、詳しく解説していきます。
アウトバウンド(発信)業務とは
アウトバウンド業務とは、企業が積極的に顧客や潜在顧客へ電話をかける営業やサービス提案の手法です。
具体的には、商品やサービスの告知や宣伝、顧客満足度の調査、アンケートの実施、新規顧客の開拓、既存顧客へのフォローアップ連絡などがあります。
アウトバウンド業務の目的は、顧客との関係構築をはじめとして、新規顧客の獲得や顧客満足度の向上、市場情報の収集など多岐に渡ります。
関連記事:アウトバウンドコールとは?実施方法からメリット・デメリット・5つの成功のポイントまで徹底解説
インバウンド(受信)業務との違い
アウトバウンド業務と間違えやすいものに、インバウンド(受信)業務があります。インバウンド業務とは、顧客からの問い合わせ電話に対応する業務のことです。
顧客のニーズに基づいて、サービスを提供することが特徴で、商品やサービスに関する問い合わせ、サポートの要請、クレーム対応などが含まれます。
アウトバウンドが企業からの積極的なアプローチであるのに対し、インバウンドは顧客主導の電話対応に焦点を当てています。
関連記事:カスタマーサクセスとは何か?基礎知識・必要とされる理由・取り組む効果・効果の指標・取り組みのステップを解説
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アウトバウンドコールセンターの業務内容
アウトバウンドコールセンターの業務内容には、主に以下の5つがあります。
- テレマーケティング
- テレフォンアポイント
- インサイドセールス
- 電話調査
- 事務作業
それぞれについて、詳しく解説していきます。
テレマーケティング
アウトバウンド業務におけるテレマーケティングは、電話を通じて顧客とのつながりを築く営業手法です。テレマーケティングは、既に取引のある顧客や潜在的顧客を対象にしています。
主な目標は、商品購入の促進や顧客満足度の向上などで、電話を通じて、顧客が関心を持ちそうな商品の紹介や購買後のフォローアップを行います。
テレマーケティングは、特定の顧客層に焦点を当てて通話を行うため、他のマーケティング方法に比べて成果を上げやすいという特徴があり、チラシの配布や訪問販売よりも効率的です。
しかし、電話を通じた営業を嫌がる人もいるため、オペレーターには高い対話力と幅広い商品知識が求められます。
テレフォンアポイント
アウトバウンド業務におけるテレフォンアポイントとは、潜在顧客に連絡を取り、ビジネスミーティングや面談の日程を確保するプロセスです。
テレマーケティングと似ていますが、目標が異なります。テレマーケティングの主な目的は、直接電話で営業活動を行うのに対し、テレフォンアポイントの主な目的は、面談の機会を作ることです。面談が決まれば、そこからは営業担当者に業務を引き継ぎます。
また、既存の顧客を対象に電話をかけることがテレマーケティングであるのに対し、新規顧客を掘り起こすことを目指し、広範囲の顧客リストを基に連絡を取るのが、テレフォンアポイントです。テレフォンアポイントは予約の確保が最終目標であるため、オペレーターに高度な専門知識は求められません。
インサイドセールス
インサイドセールスは、電話だけでなくメール・チャットなどのオンラインツールも含む遠隔の手段で行う営業活動です。
主に、顧客にアプローチするだけではなく、継続的にコミュニケーションを取り続けることで顧客との関係を築き上げ、最終的には購入や契約に結びつけることを狙いとしています。この点が、即時成約や面談設定を目標としたテレマーケティングやテレフォンアポイントとは異なります。
対象となる顧客は、企業の商品やサービスに関心を示しつつも、まだ購入や契約に踏み切っていない潜在顧客です。新旧を問わず、顧客の興味の度合いを見極めつつアプローチを行い、商談へと移行させるタイミングで営業担当へと引き継ぎます。
また、関心が薄い潜在顧客に対して、購買動機を喚起するためのアプローチを行うことも、インサイドセールスの特徴です。
電話での状況確認やメールでの情報提供を通じて顧客のニーズに火をつけ、商品やサービスへの興味を深めていきます。従って、面談を設定するだけではなく、顧客と良好な関係を継続的に築くことが、インサイドセールスの目的です。
電話調査
アウトバウンド業務における電話調査は、市場調査・顧客満足度調査・商品やサービスに関するアンケート収集・意見調査などを行う作業です。
コールセンターのスタッフが特定のリストやサンプル群に属する個人や企業に直接電話をかけ、さまざまな質問に答えてもらいます。
顧客のニーズや市場の動向、商品やサービスに対しての反応を把握し、マーケティング戦略の改善や顧客サービスの向上を図るために、電話調査で得た情報は重要です。電話調査では、率直な顧客の意見が得られるため、商品やサービスの改善や顧客満足度の向上に役立てられるでしょう。
事務作業
アウトバウンド業務における事務作業は、顧客データベースの管理・通話記録の入力・営業リストの更新・成果報告の作成・スケジュール管理・文書の準備や送付・メール対応などがあります。
これらの事務作業は、コールセンターの運営を円滑に行うために欠かせません。また、顧客情報の更新と整理は、個別の顧客ニーズに合わせたサービスを提供する上で非常に重要であり、アウトバンド活動の効果を最大限に引き出し、顧客との長期的な関係構築を可能とします。
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コールセンターのアウトバウンド業務によくある課題
アウトバウンド業務を円滑に進めるためには、事前に起こりがちな問題を把握しておくことが大切です。コールセンターのアウトバウンド業務によくある課題には、主に以下の3つがあります。
- オペレーターの人員不足
- 成約率の低下
- 営業部門との連携不具合
それぞれの課題について、解説していきます。
オペレーターの人員不足
コールセンターのアウトバウンド業務では、オペレーターの人員不足が発生することがあります。これには、オペレーターの新規雇用が困難、あるいは新しく雇ったオペレーターが短期間で退職するといった事例も珍しくありません。
特にアウトバウンド業務は、目標とするノルマがある中、顧客から冷たい反応をされても継続的に電話をかけなければならない状況に負担を覚えることもあり、心理的なストレスが大きい職種です。
また、繁忙期に十分な人員を確保できない、研修などのトレーニングを実施できないといった組織側の問題が起こることもあります。自社で体制を整えるのが難しい場合は、アウトバウンド業務の外注化も方法の1つです。
成約率の低下
コールセンターのアウトバウンド業務では、成約率の低下が一般的な課題として挙げられます。これは、顧客のニーズに合致した提案が難しく、また無差別に大量の顧客にアプローチすることで反感を買うケースが増えるためです。
さらに、競争の激化や消費者の選択肢の多様化により、顧客の獲得は一層困難になっています。成約率を上げるには、ターゲットの精緻化、オペレーターのスキルアップ、顧客に合わせたアプローチの強化などをする必要があります。また、長期的に顧客との関係を構築し、一度のアプローチで終わらせず、フォローアップを続けていく戦略も効果的です。
営業部門との連携不具合
コールセンターのアウトバウンド業務では、営業部門と綿密な協力関係を維持することが不可欠です。オペレーターが顧客から聞き出した情報をしっかりと営業部門に伝達していかなければ、営業担当者は個別の顧客に合わせた活動が行えません。
また、顧客から苦情を受けた場合でも、販売部門が速やかに対応することで、問題解決を通じて顧客の信頼を得る機会に変えることが可能です。コールセンターでの対応履歴を営業担当者が閲覧できるシステムを導入するなど、連携の不具合を防ぐ体制を築くことが重要です。
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コールセンターのアウトバウンド業務を成功させるコツ
コールセンターのアウトバウンド業務を成功させるコツには、以下の7つがあります。
- ターゲットを理解する
- 適切なKPIを設定する
- トークスクリプトを作成する
- ロールプレイングによる訓練を行う
- 職場環境の改善を行う
- システムを導入する
- アウトソーシングを活用する
それぞれについて、詳しく解説していきます。
ターゲットを理解する
コールセンターのアウトバウンド業務を成功させるには、ターゲット顧客を深く理解することが欠かせません。顧客のニーズ・関心・購買行動パターンを把握することで、よりパーソナライズされたアプローチが可能になり、成約率の向上につながるためです。
具体的には、市場調査や顧客データの分析を通じて、ターゲット顧客のプロファイルを明確に定義することが重要です。顧客データの分析作業を怠ると、新規顧客を獲得できないだけでなく、既存顧客との関係も深まらず、結果的には事業成長の機会を逃してしまいます。
顧客データを分析することで、顧客に響くメッセージや提案をカスタマイズしていくことができます。顧客を深く理解し、自社の提供する価値を顧客に合わせて調整することで、より良い営業成果を上げられるでしょう。
適切なKPIを設定する
コールセンターのアウトバウンド業での成果を上げるためには、適切なKPIの設定を行う必要があります。
KPIは、成果を公正に評価する基準です。主な指標には、下表のような項目があります。
主な指標 |
内容 |
発信回数 |
アウトバウンドコール(顧客や潜在顧客への電話)の総数(多いほど活動の量が多いことを示す) |
コンタクト率 |
対象者と実際にコンタクトできた割合(効率性や成果の高さを測る指標) |
契約率 |
提案や商談が成約に至った割合(効率性や成果の高さを測る指標) |
AHT |
1件の対応にかかる平均時間(対応効率の指標) |
CPH |
1時間あたりの処理件数(作業の速度や生産性を示す) |
CPC |
1コールあたりの費用(コスト効率を測るための指標) |
発信回数や契約率を算出することで、アウトバウンドコールの成果を公平に判断できます。また、CPC(Cost Per Call)を知ることで、費用と効果の比較が可能となり、より効率的な戦略を立てられるでしょう。
トークスクリプトを作成する
コールセンターのアウトバウンド業務では、トークスクリプトが非常に重要です。
トークスクリプトとは、顧客との会話をあらかじめまとめた台本形式のマニュアルです。トークスクリプトでは、ターゲット顧客に合わせて効果的なトーク展開、セリフを細かく設定していきます。
また、市場動向や商品・サービスの変更に応じて、こまめにブラッシュアップしていくことも大切です。トークスクリプトの編集や改善は、現場経験が豊富な経験者の声を取り入れながら行います。
関連記事:営業のテクニック これだけは抑えたい応酬話法のHOW TO①
ロールプレイングによる訓練を行う
コールセンターのアウトバウンド業務で成果を上げるには、ロールプレイングによる訓練を行いましょう。オペレーターの対応力を向上させ、質を上げるためです。
アウトバウンドコールは、発信側から案件や商品・サービスを紹介できるという利点がありますが、顧客が提案内容に関心を示さない限り、成果には結びつきません。
オペレーターの対応スキルを高め、優れたコミュニケーション技術と説得力で顧客の関心を引きつけることが重要です。トークスクリプトを活用し、効率的かつ有効にセールスを進められるように訓練していきましょう。
関連記事:営業・販売の現場の課題を解決する「オンライン接客ロープレサービス」ホンダカーズ岐阜による活用事例
職場環境の改善を行う
コールセンターのアウトバウンド業務では、職場環境の改善を行うことも大切です。オペレーターは、顧客から心無い言葉を投げかけられ、心身ともに疲弊することも少なくありません。放置していると離職につながるため、定期的に面談を実施してメンタル面のサポートを行う必要があります。
また、オペレーターのモチベーションを保つために、KPIを活用した目標設定を共有し、適切に休憩時間を設けていくことも有効です。
システムを導入する
コールセンターのアウトバウンド業務には、システムを導入すると効率化が図れます。
例えば、CTIはコールセンターの通話機器とコンピューターシステムを融合させる技術で、導入すると顧客データや過去のやり取りが迅速に取得でき、電話の対応効率が向上します。
また、インタラクティブボイスレスポンス(IVR)を採用することで、電話の自動受付や振分け作業を行うことができ、通話処理の速度を上げると同時に、スタッフの作業負担を減らすことができます。技術システムを導入することで、人員不足や離職率の低下を抑制できるでしょう。
アウトソーシングを活用する
コールセンターのアウトバウンド業務を成功させるためには、アウトソーシングを活用するのも方法の1つです。
アウトバウンド業務を外注することで、自社の社員は営業業務に集中でき、専門業者に依頼することで通話サービスの質の向上も見込めます。また、オペレーター人員を確保する必要もありません。
アドバウンド業務では、単純に顧客獲得数や売上の数値を最優先する姿勢だけでは、成功が難しいと言えます。数値至上主義で業務を進めていくと、顧客の実際のニーズや長期的な関係構築を見落としてしまう可能性があるためです。
しかし業務の質に焦点を当てると、オペレーターの育成やトークスクリプトの作成に時間と手間がかかります。そこで、アウトソーシングを活用すれば、自社のリソースを使わずに効果的なアウトバウンド業務でのセールスが行えるでしょう。
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まとめ
コールセンターのアウトバウンド業務は、人員不足や成約率の低下、営業部門との連携の不具合といった問題が起こりやすい業務です。
成功させるためには、ターゲットを深く理解し、成果につながるトークスクリプトの作成やロールプレイによる訓練など、オペレーターの育成をすることが欠かせません。
また、顧客獲得数や売上の数値といった数字を追求するだけでは成果は上がらないため、顧客との関係を構築し、顧客の真のニーズへの応答をすることが大切です。
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