最終更新日 2023.10.23

カスタマーサクセスとは?カスタマーサポートとの違いや実施手順を徹底解説

SaaS型のサービスが広がっていく中で、カスタマーサクセスの重要度が高まりました。カスタマーサクセスという言葉を知っていても、具体的にどういった概念なのか、どう進めるべきなのか、といったことまではわからないという方も多いでしょう。

そこで本記事では、カスタマーサクセスについて基本知識から必要とされる理由・実施効果や導入ステップまで詳しく解説します。


博報堂グループでは、既存顧客の解約リスク低減と顧客満足度に貢献する「カスタマーサクセス」ソリューションを提供しています。サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちら

目次

カスタマーサクセスとは?よく似たカスタマーサポートとの違いも解説

まずはカスタマーサクセスについて概要とカスタマーサポートとの違いについて解説します。

カスタマーサクセスとは?

カスタマーサクセスとは、サービス提供企業側から顧客に対して能動的にアプローチをすることで、商品やサービスに対する顧客の目的や課題・活用状況を把握し、助言・サポートすることで活用を成功へとつなげることです。

カスタマーサクセスによって顧客とのポジティブな関係を維持・強化・顧客満足度の向上をすることで、結果的にサービスの解約率を下げたり、アップセル・クロスセルにつなげたりできます。

カスタマーサクセスチームは、顧客のニーズや要求に対応し、顧客が商品やサービスを最大限に活用することを支援することを任務としています。このチームは、顧客とのコミュニケーションを通じて、顧客の課題を認識し、解決策を提供することを通じて、顧客の成功を支援することに努めます。

カスタマーサポートとの違いは?

次に、カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いについて解説します。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、顧客とのコミュニケーションを重視するビジネスのアプローチですが、異なる目的があります。

カスタマーサクセスは、顧客の商品やサービスの利用を成功体験へと結びつけることを目的としています。そのため、カスタマーサクセスチームは、能動的にアプローチをし、顧客の状況やニーズをヒアリングし、商品やサービスを最大限に活用できるように支援します。

一方、カスタマーサポートは、顧客が商品やサービスを利用する上で発生した問題やトラブルに対応することを目的としたものです。カスタマーサポートチームは、受動的に顧客からの質問や要求を受け、その問題解決を通じて顧客が商品やサービスを正しく利用できるように支援します。

今なぜカスタマーサクセスが必要とされているのか?

次に、カスタマーサクセスが必要とされている理由について以下の3点を解説します。

  • ビジネスモデルの変化
  • 営業スタイルの多様化
  • 顧客ニーズの変化

それでは、それぞれ見ていきましょう。

ビジネスモデルの変化

カスタマーサクセスが必要とされている理由の1つ目は、世の中のビジネスモデルの変化です。

近年、ビジネスモデルが変化し、サブスクリプション型のビジネスモデルが増加しています。サブスクリプションは、顧客が長期的にサービスを利用することが利益率へ大きな影響を与えるビジネスモデルです。そのため、顧客がサービスに満足し使い続けることが、ビジネスの成功に必要不可欠な要素になります。さらに、高品質で安定したサービスを顧客に提供することで アップセル・クロスセルといった追加提案もしやすくなります。

営業スタイルの多様化

カスタマーサクセスが必要とされている理由の2つ目は、営業スタイルの多様化です。

新型コロナウイルス感染症の問題が起きて以降、マーケティングによってリードを獲得し、見込み顧客の興味の度合いに応じてインサイドセールスとフィールドセールスを使い分けるという営業スタイルが広がりました。

SaaS型のサービスでは、顧客が無料で実際にサービスを使い始め、顧客の状況に応じてセールスが有料での利用提案をしていく企業もあります。カスタマーサクセスによって蓄積された成功ノウハウや事例は、セールスチームの提案力を大きく高めるとともに、顧客が実際にサービスを選ぶ際にも導入後にカスタマーサクセスチームの存在自体が重要な要素になっています。

顧客ニーズの変化

カスタマーサクセスが必要とされている理由の3つ目は、顧客ニーズの変化です。

サブスクリプション型のサービスが広がる中で、顧客もサービスを導入しておしまいではなく、導入後の活用支援や改善を期待するようになっています。SaaS型のサービスでは、カスタマーサクセスチームによって顧客がサービスをしっかり活用し、成功まで支援をしてくれることを期待しています。

また、デジタル技術の進化に伴い、サービスへのフィードバックをコンスタントに集めて、スピーディーな改善を定常的に続ける企業が増えています。顧客はサービスそのものだけではなく、その後のサポートや改善も含めてサービス全体を捉えるようになっています。

カスタマーサクセスに取り組むことで得られる効果

次に、カスタマーサクセスに取り組むことで得られる効果について以下を解説をします。

  • スピーディーなフィードバック・改善
  • LTVが最大化
  • 顧客ロイヤリティの向上

それでは、それぞれ見ていきましょう。

スピーディーなフィードバック・改善

カスタマーサクセスに取り組むことで得られる効果の1つ目は、スピーディーなフィードバック・改善です。

カスタマーサクセスチームは、顧客とのコミュニケーションを通じて、顧客の課題を認識し、スピーディーに解決策を提示できます。また、カスタマーサクセスを通じて顧客とのポジティブな関係を維持することで顧客の声を集め、社内にフィードバックすることでサービスの改善に活用できます。

LTVが最大化

カスタマーサクセスに取り組むことで得られる効果の2つ目は、LTVが最大化できることです。

LTVとは、Life Time Value(ライフタイムバリュー)の略で、顧客生涯価値という意味です。LTVは、一つの顧客アカウントの契約が始まってから終わるまでに得られる累積の利益を測る指標です。カスタマーサクセスによって顧客の課題を早期に検出・解決することで、顧客がサービスを解約することを予防できます。その結果、カスタマーサクセスは顧客のLTVを最大化できます。

顧客ロイヤリティの向上

カスタマーサクセスに取り組むことで得られる効果の3つ目は、顧客ロイヤリティの向上です。

カスタマーサクセスによって顧客とのコミュニケーション接点が増加し、適切なタイミングで必要な助言や提案ができます。顧客はそれらのコミュニケーションを通じてサービス利用に対して良質な体験を得ることができ、顧客ロイヤリティが向上します。

カスタマーサクセスで確認するべき6つのKPI

次に、カスタマーサクセスで確認するべき6つのKPIを解説します。

  • 解約率(チャーンレート)
  • 維持率(リテンションレート)
  • オンボーディング完了率
  • アップセル率
  • クロスセル率
  • NPS(ネットプロモータスコア)

それぞれ確認していきましょう。

解約率(チャーンレート)

カスタマーサクセスで確認するべきKPIの1つ目は、解約率(チャーンレート)です。

解約率は、顧客がサービスを利用している期間中に解約する割合を表します。このKPIは、 カスタマーサクセスチームが顧客の満足度を測定できる指標です。解約率が高い場合、顧客が満足していないことを示します。そのためカスタマーサクセスチームは、解約率を確認し、サービス全体の状況を把握しながら、顧客の満足度を向上させるための施策を行っていくことが重要です。

維持率(リテンションレート)

カスタマーサクセスで確認するべきKPIの2つ目は、維持率(リテンションレート)です。

維持率は、サービスを長期的に利用している顧客の割合を表します。このKPIも、カスタマーサクセスチームが顧客の満足度を測定できる指標です。維持率には、顧客数ベースで維持率を計算するカスタマーリテンションレートと、収益ベースで維持率を計算するレベニューリテンションレートがあります。いずれにしても、維持率が高い場合、顧客が満足していることを示します。

オンボーディング完了率

カスタマーサクセスで確認するべきKPIの3つ目は、オンボーディング完了率です。

オンボーディングは、新規顧客がサービスを利用するための準備・登録・確認などのプロセスを指します。オンボーディング完了率は、サービスの利用開始までに必要な手続きをすべて完了した新規顧客の割合を表します。オンボーディング完了率が低い場合、顧客がサービスの利用開始までに必要な手続きを完了することが困難だということを示します。

そのため、カスタマーサクセスチームは、オンボーディング完了率を確認し、顧客がサービスの利用開始までに必要な手続きを容易に行えるように支援することが重要です。

関連記事:そのマーケティングシステム、うまく活用できていますか?事業成長につながるマーケティングオペレーション自走化支援

アップセル率

カスタマーサクセスで確認するべきKPIの4つ目は、アップセル率です。

アップセルとは顧客が導入サービスのオプションを追加で利用することであり、アップセル率は顧客が追加オプションを利用する割合を表します。アップセル率が低い場合、導入済みのサービス自体への満足度が低いか、アップセルの提案が不十分である可能性があります。アップセル率を確認することで、カスタマーサクセスが行うべきアクションを検討できます。

クロスセル率

カスタマーサクセスで確認するべきKPIの5つ目は、クロスセル率です。

クロスセルとは顧客が他のサービスや製品を購入することを意味し、クロスセル率は顧客が他のサービスや製品を購入する割合を表します。クロスセル率が低い場合も、導入済みのサービス自体への満足度が低いか、クロスセルの提案が不十分である可能性があります。クロスセル率を確認することでも、カスタマーサクセスが次に実施するべき行動を検討できます。

NPS(ネットプロモータスコア)

カスタマーサクセスで確認するべきKPIの6つ目は、NPS(ネットプロモータスコア)です。

NPSは、顧客の満足度を測定するための指標です。顧客に「このサービスをお勧めするか?」という質問を行い、回答に基づいてスコアを算出します。NPSが高い場合、多くの顧客がそのサービスに愛着や信頼を持っていることを示します。

カスタマーサクセスの活動のステップ

最後に、カスタマーサクセスを進めるための4つのステップを解説します。

  1. 顧客を知る
  2. 顧客情報を共有する
  3. プロダクトを改善する
  4. 適切な仕組みの提供

それぞれ確認していきましょう。

1.顧客を知る

カスタマーサクセスを進めるための1つ目のステップは、顧客を知ることです。

カスタマーサクセスは、顧客のニーズや期待を知ることが重要です。そのため、カスタマーサクセスチームは、顧客のデータやフィードバックを収集し、顧客のニーズや期待を把握します。

2.顧客情報を共有する

カスタマーサクセスを進めるための2つ目のステップは、顧客情報を共有することです。

カスタマーサクセスで得た顧客情報を共有することで、チームとしてノウハウを共有したり、情報を引き継いで他のスタッフが顧客とのコミュニケーションをスムーズに行うことができます。そのため、顧客情報を共有するためのシステムやプロセスを整備することが大切です。

3.プロダクトを改善する

カスタマーサクセスを進めるための3つ目のステップは、プロダクトを改善することです。

カスタマーサクセスは、収集した顧客のニーズを社内にフィードバックして、プロダクトを改善することも重要な役割です。プロダクトの改善は、顧客のサービス満足度を向上させることにつながります。

4.適切な仕組みの提供

カスタマーサクセスを進めるための4つ目のステップは、適切な仕組みの提供です。

適切な仕組みの提供とは、カスタマーサクセスの活動で得られた情報をもとに、顧客がサービスを導入したときから運用まで最適な支援をし続けられるようにすることです。顧客がどこで不満を抱きやすいのかを事前に把握し、先回りしてサービス改善やフォロー体制の構築を進めておきます。それらを通じて、顧客は早期に成功体験を得られます。

まとめ

本記事では、カスタマーサクセスの基礎知識から必要とされる理由、効果、指標と取り組みのステップを解説しました。ビジネス環境の変化に合わせて、カスタマーサクセスに求められる重要性は日々高まっています。

以下のコラムにて、カスタマーサクセスについてより具体的に解説していますので、よろしければこちらもご確認ください。

関連記事:「顧客起点」で組織連携を進化させる3STEPとは?

博報堂グループでは、既存顧客の解約リスク低減と顧客満足度に貢献する「カスタマーサクセス」ソリューションを提供しています。サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちら

bizgarage

BIZ GARAGE 編集部

BIZ GARAGEコラムでは、ビジネスをとりまく環境の大きな変化により、最適な手立てを見つけることが求められる現代において、生活者の心を動かし、ビジネスを動かすために、博報堂グループのソリューションや取り組みのご紹介、新しいビジネスの潮流などをわかりやすく解説しています。

「選ばれ続けるために重要なカスタマーサクセスとは~CS推進の考え方8か条」のソリューション資料のダウンロードはコチラから   「選ばれ続けるために重要なカスタマーサクセスとは~CS推進の考え方8か条」についてもっと詳しく知りたい方のために、ソリューション資料をご用意いたしました。ぜひお気軽にダウンロードください。

タグ一覧