2023.11.21

ECサイト運営の基礎知識|業務内容や成果を出すために必要なものを紹介!

インターネットの普及によってEC市場は拡大しており、ECサイトを利用する人も増えてきています。2026年には80兆円を超えるともいわれるEC市場において、ECサイトの運営は大きなビジネスチャンスのひとつであり、これから新たにEC運営を始めようと考えている方も多いでしょう。 

そこで本記事では、ECサイトとは何か、具体的な業務や成果を出すためのポイント、EC運営の人材を確保するための方法などを紹介します。ぜひ参考にし、ECサイト運営に役立ててください。

目次

「ECサイト」とは何か?

ECサイト」の「EC」は、「Electric Commerce(電子商取引)」の略称です。「Eコーマース」とも呼ばれ、インターネットショッピングを含む電子的な取引全般を意味します。

ECサイト」は、そのようなEC(電子商取引・Eコマース)のための販売サイトを指します。つまり、インターネット上で商品の販売を行うネットショップを指すということです。

顧客が自分のパソコンやスマートフォンを使ってインターネット経由でECサイトにアクセスし、商品を選択してカートに入れ、購入するという流れが一般的です。

関連記事:ECサイトの立ち上げ方とは?構築の費用やフローなど解説

ECサイトの種類と特徴

ECサイト」と一言で言っても、複数の種類があります。取引形態で見た場合、大きく3種類に分類できます。

  1. BtoC向けECサイト(企業→消費者)
  2. BtoB向けECサイト(企業→企業)
  3. CtoC向けECサイト(消費者→消費者)

もともとBtoCBtoB向けのECサイトが多かったのですが、最近ではメルカリやラクマ、ヤフオク!など、生活者同士で取引するCtoC向けECサイトも人気です。

さらに、ECサイトはその制作方法によっても分類可能です。

ECサイトのタイプ 自由度 外部システムとの連携 専門知識は必要か 初期費用 運用保守

モール型

×

×

不要

低額

不要

ASP型

×

不要

低額

不要

パッケージ型

不要

高額

必要

オープンソース型

必要

低額~高額

必要

フルスクラッチ型

必要

超高額

必要

ここからは、制作方法によって分類された上記5つのタイプについて、1つずつ見ていくことにします。

モール型

ショッピングモールと同じ形態のECサイトです。ショッピングモールは1つの施設のなかに複数の店舗が入っていますが、モール型ECサイトは、1つのECサイトのなかに複数のネットショップが入っています。

モール型ECサイトの場合、既に知名度が高く、多くのユーザーがアクセスしています。そのため集客がしやすく、モール自体の知名度から、ユーザーに信頼されやすいといえます。

またサイトの構築も簡単で、費用もあまりかかりません。初期投資を抑えて出店でき、すぐに販売できます。デメリットは、自店舗独自のカスタマイズがほとんどできない点です。モール内で他社との差別化がしにくいのが特徴です。

ASP型

ASP型は、ECサイトを作るために必要な機能がクラウド上に用意されており、それらを使って手軽にECサイトを作成・運営できる仕組みです。

モール型同様、構築は簡単で、費用もあまりかかりません。モール型に比べればややカスタマイズ性が高いですが、基本的にはASPで提供されている範囲の機能・デザインしか利用できません。

また、ASP外のサイトとの連携などはできないため、自社で独自のシステムを作り、連携したい場合などには不向きです。

パッケージ型

ECサイトに必要な基本機能が、パッケージとして提供されているタイプです。ベンダー各社から専用のソフトウェアを購入し、独自のECサイトを構築します。

パッケージ型の場合、モール型やASP型と異なり、独自のカスタマイズが可能です。他社との差別化を図りたい場合や、ブランド構築に力を入れたい場合などに適しています。このほか、規模の大きなサイトが構築可能、セキュリティ面で優れているというメリットもあります。

ただし、モール型・ASP型に比べて初期投資・運用費用は高額です。数百万円以上の初期費用が必要になり、さらに更新などの運用費用もかかるので、コストを抑えたい場合にはおすすめできません。

オープンソース型

パッケージ型と同様、専用のソフトウェアを使ってECサイトを構築します。パッケージ型との違いは、ソフトウェアのソースコードが無償で一般公開されていることです。

メリットはパッケージ型同様、カスタマイズ性が高いことです。パッケージ型のデメリットであった費用面も、オープンソース型は無料なため、解決できています。

ただし、オープンソース型を実際に運用するには専門知識・技術が必要です。それらの知識・技術を持った人材が社内にいない場合、外注しなくてはならなくなり、費用がかかってしまいます。

また、セキュリティ面なども自社で対応せざるを得ないため、専門知識のある技術者がいない場合にはおすすめできません。

フルスクラッチ型

フルスクラッチ型は、既存のソフトウェアやASPなどに頼らず、自社もしくは外注でゼロから独自にECサイトを開発するスタイルです。全くのゼロからサイトを構築していくので、好きなように機能やデザインを設計できます。

大規模なECサイトや、自前のモールを作ることも可能です。ブランド構築や顧客満足を追求する上で自由度が高いといえるでしょう。

デメリットは、初期費用が膨大にかかることと、開発に時間がかかることです。開発費用は安くても500万円以上はかかってしまい、開発期間は半年〜1年程度かかることが多いです。

また初期費用だけでなく、更新などの運用コストもかかります。自由度が高い分コストがかかり、年商数十億円規模のECサイトでない限り、赤字になってしまう可能性があります。

ECサイトの種類の選び方

ECサイトは制作方法によって5種類に分けられました。それぞれに特徴がありますが、まずは初期費用の相場と年商規模から絞り込むことも検討できます。

ECサイトのタイプ

初期費用の相場

年商規模の目安

モール型

無料〜10万円以下

1億円未満

ASP型

パッケージ型

100万円〜500万円以下

1億円以上

オープンソース型

10万円〜500万円以下

フルスクラッチ型

500万円以上

30億円以上

初期費用から考えると、年商1億円未満の場合はモール型かASP型が検討されます。
年商1億円〜30億円未満の場合にはフルスクラッチ型以外が検討できて、30億円以上の場合にはそれぞれの特性を踏まえて自由に選ぶのが良いでしょう。

ECは将来性が高い分野

2022年8月に経済産業省が実施した「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によれば、令和3年の日本国内のBtoC-ECの市場規模は20.7兆円であり、前年比7.35%増の結果となっています。2013年からBtoC-EC市場は右肩上がりに成長し続けており、10年間で約2倍の規模になっています。

誰もがインターネットに接続できる環境が整っている近年では、消費者がECサイトを通じて気軽に買い物を楽しむ姿も一般的になりました。将来的にはさらに市場が拡大していくでしょう。

実際に、2020年6月に野村総合研究所が発表したEC市場予測によれば、2026年にはEC市場の規模が80.9兆円にまで成長すると予測されており、EC運営は将来性が高い分野であることが見て取れます。

参考:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」
参考:野村総合研究所「野村総合研究所、2026年度までのICT・メディア市場の規模とトレンドを展望~コロナショックでデジタル化が加速~」

ECサイトの運営業務

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続いて、ECサイトの運営業務について見ていきます。ECサイトの運営業務は、下記の2種類に分けることが可能です。

  1. フロント業務
  2. バックエンド業務

フロント業務はユーザーの目に触れる部分、つまりECサイトのデザインや広告・SEO、販売する商品の検討、キャンペーン施策の企画などを担当します。

バックエンド業務は、ユーザーの目に触れない部分の業務です。注文された商品の発送業務や売上の報告、顧客からの問い合わせやクレーム対応、在庫管理などが含まれます。

ECサイト運営の業務|フロント業務

まずはユーザーの目に触れる部分を担当するフロント業務について、詳しく見ていくことにします。

商品企画

ECサイト運営業務のなかで、最も重要な業務が商品企画です。どのような商品を企画するかで、ECサイトの売り上げは大きく変わります。企画された商品が魅力的でなかった場合、ほかの業務・施策をどれだけ頑張ったとしても、売り上げを伸ばすのは困難です。

失敗すると取り返しがつきにくいので、特に慎重に行う必要があります。市場のニーズやトレンドなどについて十分なリサーチを行い、見込まれる売り上げや原価、利益を計算した上で企画していきましょう。

仕入れ

企画された商品を仕入れます。仕入れも非常に重要で、在庫回転率を計算し、適切な数量を仕入れなくてはなりません。また、在庫が少なすぎることにもリスクがあります。

最近は、SNSの投稿などをきっかけに、商品が突然有名になってたくさん売れることがあります。もしそうなった場合、在庫がなくなってしまうことは大きな機会損失につながります。

そのような場合に追加の発注がすぐできる体制の構築や、複数の仕入れ先を用意しておくなどの工夫も必要です。

ECサイトの制作と管理

顧客目線に立ち、ユーザビリティを意識してサイトを制作しましょう。文字のフォントや大きさは読みやすいか、サイト構成はわかりやすいか、商品購入までの導線はややこしくないか、などは非常に重要です。

現在、多くのECサイトがインターネット上にあります。ユーザーはよほど興味がない限り、1つのサイトをじっくり見てくれません。以下のようなことがあると、その時点で離脱してしまう可能性があります。

  • 文字が読みにくい(フォントが読みにくい、サイズが小さい、文字色が背景と同系色など)
  • サイト構成がわかりにくい(いろいろなところにリンクがあり、クリックしていくうちに迷ってしまうなど)
  • 商品の購入方法がわかりにくい
  • 動画や画像が重すぎ、ページを開くのに時間がかかりすぎる

どれだけ商品が魅力的で自社ブランドにマッチしたデザインのサイトだったとしても、ユーザビリティを軽視すると、そもそも見てもらえなくなってしまう可能性があります。

また、新商品の登録やキャンペーン情報の紹介、季節に合わせて特別なページを作るなど、更新業務も重要です。

商品の撮影

ECサイトは便利ですが、実店舗と違って実際に商品を手に取って見ることができないという弱点があります。それを補うのが撮影です。

撮影を含めた「ささげ業務」(撮影・採寸・原稿)は、商品の売れ行きを左右する重要な作業とされ、細部まで工夫しておこなう必要があります。撮影では、特に以下の点に注意しましょう。

  1. 光の調整(商品の印象が変わってしまわないようにする)

  2. サイズ感や素材感が伝わりやすい撮影

  3. 実際に使っている場面をイメージできる演出

  4. 商品イメージに合った背景や小物を取り入れる

  5. 三脚の使用(手ブレを防ぐ)など

マーケティング業務

ECサイトで実施することの多い、主要なマーケティング手段は以下の7つです。

  1. リスティング広告
  2. ディスプレイ広告
  3. アフィリエイト
  4. コンテンツマーケティング
  5. SEO
  6. SNSマーケティング
  7. メールマガジン

リスティング広告は、Googleなどの検索エンジンを使った際、検索結果に表示される広告です。キーワード検索を行っている、ある程度ニーズが明確で購買意欲の高い層にアプローチできます。

ディスプレイ広告はさまざまなWebサイトの広告枠に表示される広告です。まだニーズが明確になっていない潜在顧客へのアプローチが可能です。

アフィリエイトは、アフィリエイターが運営するWebサイトやブログなどに掲載してもらう手法で、一般的に費用対効果が高いとされています。

コンテンツマーケティングは、広告ではなくターゲット層が必要とする情報をWeb記事などのコンテンツで提供し、リード(見込み客)生成につなげる方法です。

SEOは、Googleなどの検索エンジンに評価され、検索結果で上位表示されるよう、サイト・コンテンツを最適化していく手法です。広告と比べ、成果が出始めるまでに時間がかかることが特徴です。

SNSマーケティングは、InstagramTwitterFacebookなどで商品のプロモーションをおこなうことを指します。

定期的にメールマガジンを発信することも、顧客を定着させていくことに役立ちます。これらの手法から効果が出そうなものを選択し、実施するのが主な業務です。

関連記事:ECサイト分析におけるポイント|手順や追うべきKPI、役立つツールを解説

ECサイト運営の業務|バックエンド業務

続いて、ユーザーの目には触れない部分を担当するバックエンド業務について見ていきます。

商品情報の登録

まずは、販売する商品の基本情報の登録が必要です。登録する基本情報は主に以下の内容です。

  • 商品名
  • 価格
  • スペック
  • 在庫数

これらに、商品のキャッチコピーなどを加え、顧客が興味の湧く内容に仕上げます。また、検索カテゴリーも設定し、顧客が商品を探しやすくすることも大切です。

受注管理

顧客から商品の受注をいただいた場合、以下のような業務をおこないます。

  • 注文内容確認メールの送信
  • 在庫の確認
  • 受注伝票などの作成
  • 出荷指示

ここから顧客とのやり取りがスタートします。これ以降の業務でミスがあると顧客に迷惑をかけてしまうので、慎重に業務を進めることが必要です。業務を正確に、素早く行うことができれば、ECサイトへの信頼感が上がります。

在庫管理

在庫に過不足が生じないように管理する業務です。過剰在庫は経営に悪影響を与えますし、在庫不足で品切れになってしまえば、購入したい顧客がいても期待に応えることができません。

複数店舗を展開している企業などの場合、在庫管理システムのソフトウェアを導入し、ヒューマンエラーによる顧客満足低下を防止しているところもあります。

出荷業務(ピッキング・梱包・発送)

集荷指示に従い、倉庫から商品を集め(ピッキング)、梱包し、発送します。ピッキングでのミスは返送費用や顧客の負担を発生させ、顧客満足度低下やクレームの発生につながってしまいます。

梱包は、他社との差別化に役立ちます。梱包材を工夫したり、メッセージカードを添えたりすれば、イメージアップやリピートにつながる可能性が上がるでしょう。ただし、コストや手間で負担が大きくならないよう注意してください。

関連記事:Eコマース物流とは?流れや特徴、Eコマースならではの課題を解説

アフターサービス

アフターサービスの質は、リピーターの獲得に大きく影響します。具体的には、以下のような業務を行います。

  • 問い合わせへの対応
  • クレームへの対応
  • レビュー投稿の依頼
  • 次回の購入につなげるためのクーポンの発行・送付など

集客ももちろん大切ですが、一度購入いただいた顧客に質の高いアフターサービスを提供して満足度を上げ、リピートしてもらうことも大切です。

ECサイト運営に必要なもの

  •  ECサイト運営にかかるコストの内訳
  • ECサイトの運営に必要なリソース

関連記事:ECサイト成功事例3選と成功させる7つの戦略を解説

 ECサイト運営にかかるコストの内訳

ECサイト運営にかかるコストの内訳として、下記のようなものが挙げられます。 

  •  レンタルサーバーの維持費用
  • ホスティング費用
  • 独自ドメインの取得・維持費用
  • 独自SSLサーバー証明書の取得・維持費用
  • 決済代行会社の契約料・決済代行手数料
  • 広告配信・管理費用
  • 物流サービス提供費用など

 ECサイトを運営するためには、サーバーを立ち上げて維持する必要があります。レンタルサーバーの維持費用とホスティング費用は、年間を通して必ず発生します。

また、レンタルサーバーを自社独自のドメインで運用するためには、独自ドメインの取得も必須です。他にもセキュリティ対策のために独自SSLサーバー証明書を取得する費用や、ECサイト上で決済を行うための代行会社との契約料や決済代行手数料、広告配信・管理費用、商品を配送するための物流サービス提供費用などが発生します。

 ECサイトの運営に必要なリソース

前述のように、ECサイトの運営はフロント業務とバックエンド業務の大きく2つに分けられます。まだ事業を開始したばかりの小規模事業者であれば、ECサイトの運営に必要なリソースは担当者1~2人程度で十分にまかなえるでしょう。

しかし、将来的な事業成長を考慮すると、もう少しまとまった人数を確保しておき、専門分野の育成も同時に行うことが推奨されます。自社の事業にとって専門性の高い人材を育成し、さらに事業拡大や売上アップを目指すことが望ましいです。

特にECサイトの運営は、軌道に乗ったタイミングでさらなる事業拡大に割り当てるためのリソースが不足するケースが多々あります。コスト面の問題から人件費を最低限に抑えようとしがちですが、中長期的な見通しを持って運用しましょう。

ECサイト運営に求められるスキル

ECサイト運営の業務は多岐にわたるため、求められるスキルも幅広くあります。

  • マーケティングスキル(特にWebマーケティング)
  • クリエイティブスキル
  • 商品企画力
  • カスタマーサポートスキル

これらのスキルを持った人材を確保し、規模や力を入れたい業務に合わせて適切に配置する必要があります。ここでは、各スキルについて詳しく解説します。

マーケティングスキル

EC運営を軌道に乗せるためには、マーケティングが必要不可欠です。検索順位を上位に表示させるためのSEO対策や、SNS上での情報発信、広告運用などを通じて、顧客の関心を集める施策を展開することで、集客やリピーター獲得をはかれます。

どれほど魅力ある商品を扱っていたとしても、訪問客が増えなければ購入にはつながりません。マーケティングスキルを磨き、接客に注力することで、売上向上につなげられるのです。

また運営を始めたばかりのECサイトでは、マーケティングに割り当てる人材が十分に育っていない場合もあるため、外注の利用も選択肢のひとつです。

クリエイティブスキル

見栄えの良い商品ページの作成や写真撮影・加工、ECサイト全体のデザイン設計など、クリエイティブスキルもECサイトを運営する上で重要なスキルです。近年ではWeb上での情報発信が重要な役割を占めていることから、YouTubeを活用した動画販促を用いるECサイトも増えており、動画制作の知識・スキルが求められることもあります。

PhotoshopやIllustratorなどの写真・画像編集スキルを身につけるだけでなく、HTMLやCSSのコーディングなど、さまざまなスキルが必要になります。 

商品企画力

EC運営にとって最も重要なのは、品質が高く魅力ある商品を提供することです。したがって、商品企画力は非常に重要です。

前述のマーケティングスキルやクリエイティブスキルは、いわば「自社の商品をアピールするための手段」です。マーケティングによって見込み客を集客し、高いクリエイティブスキルを発揮して見栄えの良い商品ページを作成したとしても、商品自体に魅力がなければ顧客は定着しません。

市場調査やトレンド分析を行い、ターゲットに対して響く商品を企画できる商品企画力は、ECサイト運営に欠かせないスキルです。

関連記事:

カスタマーサポートスキル

カスタマーサポートスキルを高められるかどうかは、顧客満足度を大きく左右します。ECサイトを運営している以上、顧客から問い合わせが入ることはよくあります。このような場面でいかに良質なコミュニケーションをはかれるかどうかは、顧客から自社に信頼を寄せてもらえるかどうかに直結します。

カスタマーサポートを高い品質で提供するためには、お客様の目線に立って寄り添う姿勢を見せながら、適切な解決策を提示する必要があります。そのため、コミュニケーションスキルだけでなく、課題解決力や提案力も求められます。

関連記事:カスタマーサポートを行うコンタクトセンター!メリットや重要な役割を解説

ECサイトの運営に向いている人材とは?

ECサイトの運営に向いている人材として、データをもとに分析する能力が高い人や、顧客目線に立って改善提案ができる人、常に最新の情報を追い、学び続けることができる人などが挙げられます。ここでは、ECサイトの運営に適している人材について詳しく解説します。

データをもとに分析する能力が高い人

前述のように、ECサイトを軌道に乗せるためにはマーケティングを行い、集客をはかる必要があります。

マーケティングにおいては売上データやWebサイトのアクセス情報などをもとに、さまざまなデータを分析しなければなりません。このことから、データをもとに分析する能力が高い人は、ECサイトの運営においてマーケティング担当として活躍できる可能性が高いでしょう。

近年ではECサイトの運用中に多くのデータが得られるようになり、データ活用の重要性は高まる一方です。そのため、ECサイトの運用にあたってデータを扱える人材は欠かせないものとなっています。

関連記事:AI・データサイエンスが実現する次世代型マーケティングとは?

顧客目線に立って改善提案ができる人

顧客目線に立って改善提案ができる人も、ECサイト運営にとって大切な人材です。ECサイトは、一度構築したまま放置するのではなく、定期的に効果測定を行い、改善策を反映していくことが求められます。

例えば、集客がうまくいっていても、Webサイトのトップページからの直帰率が高い場合、顧客が自社のWebサイトを回遊しない何らかの問題があると考えられます。その原因を分析するためには、自身が顧客目線に立ち、なぜトップページから他のコンテンツを回遊したいと思わないのかを深掘りしていく必要があります。

したがって、自社の運営目線に立つだけでなく、顧客目線に立って分析できる人は、ECサイトの運営に向いています。

関連記事:「顧客起点」で組織連携を進化させる3STEPとは?

常に最新の情報を追い、学び続けることができる人

Web上のトレンドの移り変わりは非常に速く、次々と新しい技術や製品・サービスが登場します。そのため、最新の情報に敏感にアンテナを張り、トレンドを反映したECサイトをつくらなければ、すぐに情報が陳腐化して顧客からの関心を失ってしまいます。

のことから、常に最新の情報を追い、学び続けることが、ECサイトを運営する人には求められます。 

新しい技術が登場したときは、自社のWebサイトにいち早く取り入れたり、トレンドを考慮して製品やサービスの改善を行ったりと、好奇心旺盛でフットワークの軽い人は、ECサイトの運営において良い結果をもたらせる可能性が高いでしょう。

ECサイト運営を成功させるためのポイント

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ECサイト運営を成功させるためのポイントとして、長期的な運用を意識して戦略を練ることや、市場の動向をチェックして流行を取り入れた運用を心がけることなどが挙げられます。また、訪問者数とCVRの関係を理解して運用すると、売上アップにつながります。

長期的な運用を意識して戦略を練る

ECサイトのマーケティングは、短期的な効果が期待できないものも多々あります。中長期的な視点で運用することによって少しずつ効果が表れるものも多いため、すぐに効果が表れないからといって施策を諦めてしまうのではなく、戦略を練って計画的に実行することが大切です。

例えばSEO対策は、作成したコンテンツが検索結果に反映されるまでには多少の時間がかかります。場合によっては数ヶ月の長い期間を要することもあるため、コンテンツ作成後すぐに結果が出ないからといって予算を削るのではなく、半年・一年先を見据えながら継続的にコンテンツを投入することが求められます。

市場の動向をチェックし、流行を取り入れた運用を心がける

市場の動向をチェックしながら、流行を取り入れた運用を心がけることも大切です。

市場の流行は常に移り変わるため、最新のトレンドを押さえずに従来の運用を続けていると、顧客にとって自社のECサイトの新鮮味がなくなり、関心を失ってしまう可能性があります。結果的に新規顧客の取りこぼしだけでなく、リピーター離れを招き、売上を大きく落としてしまうおそれもあります。

自社ならではの独自性を確立することも重要ですが、核の部分を維持しながら、最新のトレンドも柔軟に反映していくことが重要です。

訪問者数とCVRの関係を理解する

訪問者とCVRの関係を理解することも、EC運営を成功させるためには重要です。一般的に、訪問者が多く、CVRが高い状態が、最も売上を上げやすい状態と考えられます。そのため、ECサイト運営においてはマーケティングによって集客をはかり、データ分析を行ってサイト改善に努めることで、売上アップが期待できます。

例えば、1日に1,000人の集客があるECサイトで顧客単価が2,000円、CVRが5%の場合、1日の売上は下記の通りです。

1,000人×2,000円×CVR5%=100,000円

しかし、顧客単価とCVRが同じであっても、集客が2,000人になれば、売上は2倍になります。これと同様に、集客と顧客単価が同じでも、CVRが10%になれば、売上は2倍になります。これらの関係をよく理解した上で、マーケティング施策に注力する必要があります。

 ECサイトを運営する人材を確保する方法

ECサイトを運営する人材を確保する方法には、自社で採用活動を行う、人材を育成する、専門業者に外注するなどの方法があります。ここでは、ECサイトを運営する人材を確保するための3つの方法について解説します。

採用活動を行う

即戦力を迎え入れたい場合は、求人サイトや自社のWebサイト上で求人広告を出し、採用活動を行う方法が効果的です。すでにECサイト運営のスキルを持った人材を迎え入れられれば、教育期間を短く抑えて、すぐに現場で活躍してもらうことが可能になります。

かし、前述のようにECサイトの運営を担える人材は不足しているため、直ちに希望の人材を採用できるとは限りません。採用活動が長引く可能性も十分に考えられるため、慢性的にリソースが不足しており、業務が回っていない現場などには向かない方法です。

また、高いスキルを持った人材ほど人件費が高くなる傾向にあるため、短期的なコストを抑えたいなら、時間をかけて自社で人材を育成するほうが望ましい場合もあります。

自社で人材を育成する 

採用活動によって人材を探すのではなく、自社でECサイトを運営できる人材を育成する方法も考えられます。すでに雇用している人材を活用するので、採用活動費や人件費を抑えられる点がメリットです。

だし、スキルを持たない人材を1からプロに育て上げるためには、教育のための工数がかかります。このことから、即戦力を必要としている現場には不向きです。

また、ECサイトを運営できる人材を育成するためには、教育を行える専門家が自社内に在籍している必要があります。そのため、まだ事業を始めたばかりの小規模事業者などでは、時間的な余裕があっても、教育者がいないために育成ができない状況に置かれているケースも少なくありません。 

専門業者に外注する

自社で人材を確保するのではなく、ECサイトの運営に特化した専門業者に委託する方法もあります。高品質なECサイトの運営知識やスキルを持っているプロに任せられるため、短期間で高い成果を出しやすいのがメリットです。

た、人材不足によって採用活動が難航している場合でも、外注であればすぐに人材を確保できる可能性が高いといえます。即戦力を求めている現場にとって外注業者は、非常に助かる存在となるでしょう。

前述のように、自社内に人材を育成するための教育者がいない場合でも、外注を利用することでプロのノウハウを持った人材を迎え入れられます。このことから、小規模事業者にとっても専門業者への外注は効果的な方法です。

お役立ち資料:採用するだけが人材確保の手段ではない。営業は採用からアウトソースする時代へ

 ECサイト運営の人材確保が難しい理由

ECサイト運営の人材確保が難しい理由として、市場の成長速度が速く需要に供給が追い付いていないことや、働き方改革・少子高齢化による国内の労働力不足が深刻化していることなどが挙げられます。ここでは、2つの理由について詳しく掘り下げていきます。

 市場の成長速度が速く需要に供給が追い付いていない

「ECは将来性が高い分野」の項でも述べたように、EC市場は10年間で約2倍の規模に成長するなど、大規模な発展を続けています。そのため、市場の成長速度に対して人材の供給が追い付いていない面があり、需要を満たせるほどプロの人材が育っていないという事情があります。

限られた人材を市場の中で奪い合う状況になってしまっているため、一度確保した人材を企業が手放すことも少なく、さらに即戦力を確保しにくい環境になっています。こうした状況も、ECサイト運営の人材確保をますます難しくさせている要因になっています。

働き方改革や少子高齢化による国内の労働力不足も深刻

働き方改革や少子高齢化による国内の労働力不足も、ECサイト運営の人材確保を困難にしている要因のひとつです。

国内は少子高齢化が進んでおり、生産年齢人口が年々減少しているため、どの業界でも働き手を確保することが難しくなってきています。その上、前述のように業界内で需要と供給が釣り合っていないため、人手不足が加速している状況にあるのです。

また、働き方改革によって、残業時間の規制は年々厳しくなってきています。どのような企業でも短い時間で高いパフォーマンスを発揮することが求められる環境になってきており、決められた時間の中で効率の高い仕事をこなす必要があります。

まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大以降、ECサイトで商品を購入する生活者が増えています。ECサイトの運用を検討している企業は増えていますが、サイトのタイプによっては制作に多くの費用・時間がかかり、運営業務も多岐にわたります。

そんなECサイトの制作から運営業務までをトータルでサポートする「EC総合支援サービス」を利用するのも1つの方法です。本記事を参考に、ぜひ自社にあったECサイトの運営方法を見つけてください。

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