効率的な営業活動を進めるためには、営業管理が重要です。
営業活動に関するさまざまな情報を上手く管理・活用できれば、売上向上やモチベーションアップにもつながります。
しかし単純に情報を管理・記録するだけでは、売上などの成果に効果が出るとは限りません。成果を得るための営業管理について正しい情報を把握する必要があります。
本記事では営業管理の必要性や、効果的に進めるために押さえたいポイントなどを解説します。
目次
営業管理とは
営業管理とは、営業目標の達成に向けた進捗管理を意味します。営業活動に関するさまざまなプロセスおよび情報をわかりやすく管理し、より大きな成果獲得につなげます。
顧客情報や獲得件数など、単純に数値を管理するだけでは、効果が期待できる営業管理とはいえません。記録・管理そのものが目的になってしまい、売上には貢献しないという恐れもあります。
営業管理は目標達成のために行う手段のひとつです。最終目標が別に存在する事実を意識し、その上で営業管理を進める必要があります。
営業管理の必要性
営業管理は、
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などを実現するために必要です。
全体での営業管理を行わず、各自が営業活動に関する情報を管理する状態も多くみられます。このような管理方法では、組織全体で成果を出すべきにもかかわらず、実際は個人の成績に依存してしまう恐れが大きくなります。
ノウハウが個人のみに蓄積され、組織全体としての成長が得にくい点も、個人依存の営業活動によるデメリットです。営業管理では組織内の営業活動を全体で共有し、誰もが把握できるよう可視化を行います。
ノウハウだけでなく課題も共有でき、組織全体のレベルアップにつながります。個人依存の営業活動では、組織として活動するメリットがほとんど活かせません。組織全体における効率化や成績向上などのために、営業管理が必要です。
関連記事:営業マネジメントの4つの極意~営業管理のポイント~
営業管理で押さえるべき5つの指標
営業管理を適切・効果的に実行するために押さえるべきポイントがあります。
具体的な項目は以下の5点です。
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目標管理
目標管理とは、目標に向けて起こした行動や進捗状況などを管理する手法です。
目標と現状のギャップを把握し、課題や解決策などを模索する上で重要です。最終的な目標に対し、そこから逆算する形で細かな目標を立てていきましょう。
たとえば最終目標として年間売上を設定したら、月間売上や受注数、さらには週間…などのように細分化していきます。
ここで重要なのは、難易度と実現可能性のバランスが取れており、本人および管理者のそれぞれが納得できる目標に設定することです。
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のいずれも良い営業活動につながるとはいえません。
進捗管理については、数値やデータなどの情報の活用が重要です。目標と現状の差を埋めるために必要な対策について、具体的な方法を考えられるようにします。
行動管理
行動管理とは営業プロセスにおいて起こした行動に関する管理です。
管理する項目として、以下の具体例が挙げられます。
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行動管理で大切なのは、単に行動を記録するだけでなく、詳細な分析および課題発見へとつなげることです。行動を記録するだけではその後に活かせず、管理のために発生する時間・労力が無意味になってしまいます。
例えば、商談数が多いにも関わらず案件獲得数が極端に少なければ、商談の進め方に課題があるかもしれません。
しかし記録しただけで満足してしまえば、課題の存在に気づけない恐れがあります。営業プロセスにおける行動を記録し、データの活用による課題発見・改善が目的です。
関連記事:営業目標達成に必要な「行動計画」とは
案件管理
案件管理とは、進行中の案件に関する管理です。こちらも単純に案件を羅列するような記録ではなく、営業活動の効率化につながる工夫が求められます。
例として、案件ごとに以下のような情報を記録する方法が挙げられます。
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さまざまな案件を一目で把握できるよう、表やリストなどを使って管理するのが便利です。最近は案件管理に便利なツールも多く提供されているので、それらを活用するのもいいでしょう。
Excelやホワイトボードなども案件管理に使えます。自社にとって使いやすい方法選びが重要です。
モチベーション管理
営業活動の効率化および成績向上のためには、モチベーションの維持も欠かせません。そのため営業管理では、モチベーション管理も重要な意味を持ちます。
営業担当者はオフィス内ではなく、外で活動する時間が長くなりがちです。また、リモートワーク環境下の場合でも、直接誰かと会うことが少なくなるでしょう。
そのため社員同士のコミュニケーションが不足してしまう恐れがあります。また営業成績が振るわない、目標までギャップが大きいなどの理由により、モチベーションが低下してしまうケースも少なくありません。
組織全体の営業成績を底上げするためには、モチベーション管理が非常に重要です。定期的な面談やチャットツールの活用によるコミュニケーション、ストレスチェックの導入などを行うと良いでしょう。
チーム単位・組織全体の管理
これまで紹介した内容は、担当者ごとの情報を管理、個々の対応が重要でした。しかしチーム・組織としての営業力を底上げするには、チーム単位・組織全体の管理も求められます。
チーム・組織全体での管理として、メンバーごとの情報を分析し、人員配置・業務量調整などを行う方法が挙げられます。特定の個人に偏り過ぎている状態は、結局のところ個人の力に依存し過ぎています。
営業管理は組織全体の営業力底上げが目的であり、そのためには個人への依存を避けなければなりません。もし営業管理を進める上で偏りや問題などに気づいたら、適切に調整し直す必要があります。
なお人員配置・業務量調整は、各人の物理的な負担量を同じにすれば良いとは限りません。それぞれの能力や得意分野などの要素を配慮した対応が求められます。
チーム単位・組織全体で上手く管理できれば、営業活動の効率化および成績の底上げが期待できるでしょう。
関連記事:「顧客起点」で組織連携を進化させる3STEPとは?
営業管理の方法とポイント
営業管理を効果的に行うためには、コツを押さえる必要があります。
今回紹介するポイントは以下の4つです。
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自社に適した方法を取り入れる
営業管理に限らず目的に向けて新たなルール・行動を導入する際は、適した方法選びが重要です。闇雲に行動を起こすのではなく、自社に合うか否かを考慮した上で取り入れる必要があります。
例えば、営業管理に便利なツールは多数存在しますが、組織が持つ課題や目標によって、必要な機能は異なります。他社での大きな成果につながったツールだとしても、自社の理想に合わなければ、別のツールを探すべきです。
先ほど取り上げた押さえるべき項目についても、組織によって優先させるべき項目に違いがあります。効率良く成果を出すためには、必要性・緊急度の高い項目からの着手が必要です。自社にとって必要な要素を明確にし、適した方法で営業管理を進めましょう。
関連記事:営業・販売の現場の課題を解決する「オンライン接客ロープレサービス」ホンダカーズ岐阜による活用事例
コミュニケーションを大切にする
コミュニケーションは、営業管理の成否を大きく左右する要素です。
営業管理を進めるために新たなルールを取り入れるとしても、いきなり説明・指示するだけでは、社員は戸惑ってしまうはずです。
営業管理の必要性が理解できないまま受動的に行うのでは、前向きな姿勢や良い変化などは実現しにくいでしょう。各人が持つ課題や悩みを把握できないため放置してしまい、全体の底上げをストップしてしまう恐れもあります。
組織全体で同じ方向性を目指すからこそ、コミュニケーションを大切にし、協力し合える環境が必要です。
営業ワークフローを作成
営業管理を進める目的として、課題やノウハウの共有、効率化による組織全体での営業成績向上を挙げました。
これらを実現するためには、組織内である程度足並みや進め方を揃えられるような営業ワークフローが必要です。営業活動は複雑な部分が多く、どのように進めるか検討する段階だけでも時間がかかってしまいます。
また担当者がそれぞれ個人の進め方で営業活動をしてしまっては、組織全体での効率化につながりません。課題やノウハウにぶつかるたびにタイムロスも起きてしまいます。
判断に要する時間をなるべく短縮し、全体での足並みを揃えるためには、営業ワークフローが効果的です。進め方や方向性を合わせるだけでなく、営業プロセスにおける課題の迅速な把握にも役立ちます。
効率化に役立つツールを導入
現代社会にはビジネスの効率化に便利なツールが非常に多く存在します。
営業管理に関するツールも多数あり、これらを導入・活用するのも有用な手段です。ツールの導入には一定のコストが必要とはいえ、業務プロセスのさまざまな部分の効率化が可能となります。生産性の向上が実現し、トータルでの利益が大きくなる可能性が非常に高いです。
現在のツールや機能のみに制限せず、営業管理のために新たなツールを導入するのも良い選択肢です。ただし導入・利用にかかるコストと得られる成果を比較し、十分に検討した上で選ぶようにしましょう。
関連記事:
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まとめ
営業管理は組織全体の営業活動をより良いものにする上で欠かせない方法です。営業管理の必要性やポイントなどを十分に理解し、その上で適切な方法を取り入れるようにしましょう。
ただし、営業管理はあくまでも自社内のリソースを多く割いて行う必要があります。社内の状況によっては、自社内だけで営業活動の効率化・成績向上の実現に向けた行動が難しいケースもあるかもしれません。
もし営業活動でお困りなら、博報堂グループのセレブリックスのサービスをご利用ください。リード獲得から受注まで、営業プロセスのあらゆるポイントで支援を行います。
営業活動のさらなる改善を行う際には、「営業コンサルティング」「インサイドセールス」などのソリューションサービスも参考にしてみてください。
今井 晶也(いまい・まさや)
株式会社セレブリックス 執行役員 マーケティング本部長 セールスエバンジェリスト
セールスエバンジェリストとして、セールスモデルの研究、開発、講演を行う。23年間におよぶ営業支援で蓄えた「売れるノウハウ」をもとに、法人営業のバイブルとなる顧客開拓メソッドを作成。2021年8月には本書の一般販売向けとなる書籍「Sales is 科学的に成果をコントロールする営業術」を扶桑社より出版。現在は執行役員 マーケティング本部長として、セレブリックスのコーポレートブランディング、事業企画、マーケティング、営業の統括責任者を兼任。