博報堂の強みである生活者視点とパートナー主義を活かし、2022年に博報堂と三井物産、博報堂ケトル、SIGNINGの4社が共同で立ち上げたEarth hacks。
生活者一人ひとりのアクションで脱炭素社会を推進する共創型プラットフォームでは、実際にどのような取り組みを行っているのでしょうか?
第2回では、Earth hacksの具体的な取り組みや特徴についてご紹介します。
第1回はこちらから:脱炭素のために私たちができること|楽しみながら取り組む博報堂のSDGs(Earth hacks vol.1 )
博報堂では、自分にも、まわりにも、地球にも意外とアリな“新しい選択肢”「Earth hacks」を提供しています。⇒サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちら
目次
CO2削減率を「% OFF」で表現し、わかりやすく伝えるデカボスコア
2022年1月に立ち上がったEarth hacksとは、生活者一人ひとりのアクションで脱炭素社会を推進する共創型プラットフォームです。自分にも、まわりにも、地球にもステキな「新しい選択肢」の候補になるモノやコトを提案することが大きな役割です。
具体的な取り組みとしては、脱炭素を可視化するデカボスコアの運用、自分の生活にも取り入れたいと思えるライフスタイルやエシカルな商品の情報提供、企業とZ世代の学生を脱炭素でつなぐデカボチャレンジ、イベント(マルシェ)の実施などを行っています。
すべての取り組みに共通しているのは、生活者視点で脱炭素に無理なく、前向きに楽しく取り組めること。ここからは、それぞれの取り組みの詳細をご紹介します。
CO2削減率を「%OFF」で表現し、わかりやすく伝えるデカボスコア
vol.1で述べたように、生活者の脱炭素アクションを促すためには、脱炭素を可視化・数値化し、環境にどれくらい貢献しているかを表すことが重要です。
デカボスコアで環境価値を可視化、生活者の脱炭素アクションを促進
Earth hacksでは、三井物産の海外の脱炭素ソリューションをいくつか運用していますが、そのうちの1つにスウェーデンのインパクトテック企業Doconomy社の、CO2排出量可視化ツール“The 2030 Calculator”があります。
これは、製品の素材・成分、製造プロセス、輸送過程、エネルギー源などのデータを入力すると、CO2排出量を自動で計算することができるツールです。
“The 2030 Calculator” を活用して商品やサービスのCO2削減率を算出し、企業・団体向けに提供している数値がデカボスコアです。ポイントは、商品やサービスがどれくらいCO2を削減したかを「%OFF」という表現で見せていることです。
例えば、「この服のCO2排出量は3kgCO2e」といわれても、どれくらい環境に貢献したかの実感がわきません。一方で、「従来の商品と比べてCO2排出量30%OFF」といわれると、具体的な削減率が可視化され、環境への貢献度を実感することができます。
セールやカロリーオフなどで目にする「%OFF」という表現が日本人になじみやすいという点もありますが、日本政府が2030年度に温室効果ガスを2013年から46%削減することを目標に掲げている以上、政府方針と共通の「削減=OFF」という表現を使うことに意味があると考えています。
Earth hacksとしては、CO2削減率をスコア化することよりも、デカボスコアによって環境価値を可視化し、世の中にわかりやすく伝え、生活者の脱炭素アクションを促すことを重視しています。
その実現のために、商品やサービスにデカボスコアを認証マークとして付与し、それらをEarth hacksのWEBサイト上で販売したり、SNSで情報発信したりしています。また、新商品を開発する際にデカボスコアを計測し、製法や素材などに活かすことも可能です。
また、商品販売画面では、SDGsウォッシュに配慮し、デカボスコアと併せてCO2削減量のビフォーアフターを掲載しています。
エデュケーションではなく、ライフスタイルに取り入れられる脱炭素
ライフスタイルに取り入れられる脱炭素の情報を発信
Earth hacksの情報発信では、地球が置かれている環境を紹介して危機感を煽るエデュケーションではなく、ライフスタイルに取り入れられる脱炭素というコミュニケーションを意識しています。
例えば、バレンタインが近ければチョコレートの選び方を紹介し、その中にフェアトレード認証の商品など、環境にプラスになる選択肢を提案しています。
記事制作は博報堂ケトルが担当しており、企業の依頼を受けて商品やサービスを取材して記事化し、Earth hacksのサイトやフォロワーが1万人いるInstagramで情報発信し、商品の購入を後押しするサービスもあります。
また、新聞社やラジオ局といった大手メディアと手を組み、オリジナル広告枠などを通じて情報を発信し、商品やサービスを幅広くアピールするお手伝いも行っています。
例えば、J-WAVEで毎週木曜日に放送されている番組「STEP ONE」の中にデカボスコアの商品を紹介するコーナーも持っており、企業にその枠を提供することが可能です。
脱炭素社会を推進する共創型プラットフォーム「Earth hacks」のご紹介資料は、こちらより無料ダウンロードいただけます。 |
企業と学生が共に脱炭素に取り組むデカボチャレンジ
脱炭素社会の実現に向けて企業と学生が共創するビジネスコンテストプログラムとして、2022年12月にデカボチャレンジを開催しました。
日本を代表する企業や自治体を含めた12団体が集結し、脱炭素化に向けた取り組みを130人の高校生・大学生・大学院生たちと共有し、企業と学生が2ヶ月にわたって取り組みを推進していくプログラムです。ちなみに、Earth hacks側はメンターとしても取り組みにコミットしています。
このプログラムを通じて、Z世代の学生は社会課題解決と新規事業開発の現場を体験できるうえに、企業を知り、つながりを持つことができます。企業側にとっても、Z世代の学生たちの意見を取り入れながら社会課題解決に取り組むことができます。実際にプログラムで発表されたアイデアが具現化し、ビジネスに結びつき始めています。
プログラム終了後もEarth hacksは学生たちとコミュニティ(デカボアンバサダー)を作り、現在100人の学生とネットワークを持っています。環境意識の高いZ世代の学生たちに対し、企業の商品・サービスの訴求や開発について意見を聞いたり、勉強会を開いたりしています。
デカボスコアの商品をリアルに体験できるEarth hacks マルシェ
デカボスコアを採用している商品を実際に手にとってもらうために、企業がブースを出店する「Earth hacksマルシェ」を開催しています。2022年7月に二子玉川ライズ/ガレリアで行った第1回には22社30ブランドが、同年12月に渋谷ミヤシタパークで行った第2回には29社36ブランドが参加し、廃材から生まれた家具や、未利用魚を活用したミールパックなど、さまざまな商品を販売しました。
ブースは借りてきた木材を使用し、パネルも再利用できる特別な塗料を使用するなど、ゴミを一切出さないイベントを意識しており、大きな反響を得るとともに、300媒体以上のメディアで取り上げられました。
第1回「Earth hacksマルシェ」@二子玉川ライズ
脱炭素に関する情報やソリューションが蓄積されるハブ的存在へ
博報堂は、Earth hacksのさまざまな取り組みを通じて、2050年に暮らす生活者が、今よりももっと笑顔あふれる毎日を送っている未来を想像しています。そんな未来に向けて、皆さんと楽しく、一緒に、無理せず脱炭素に取り組んでいきたいと思います。正解を常に探しながら足踏みするのではなく、いま正しいと信じることを行動に移して突き進む。間違っていたら引き返せばいい。そう思わないと、未来は、世界は変わらないと考えています。
今後、Earth hacksは共創型プラットフォームとして、イベントや情報発信、学生たちのコミュニティ、脱炭素ソリューションの受け皿など、多様な機能を持つハブ的な存在へと進化する予定です。企業と一緒に脱炭素に向けたアクションを起こし、その先に生活者のアクションを促して行きたいと思います。ぜひ、Earth hacksにご参加いただき、一緒により良い世界を作っていきましょう!
関根 澄人(せきね すみひと)
株式会社博報堂 ミライの事業室
Earth hacks
東京工業大学大学院生命理工学研究科生体システム専攻修了。細胞学を研究しながら、生物多様性や地球温暖化など環境問題を伝えていくことを仕事にしたいと思い、博報堂に入社。入社後は営業として様々な企業のブランディングなどを担当し、2019年に博報堂従業員組合の委員長を経て、2020年よりミライの事業室ビジネスデザインディレクター。2020年4月から2023年3月まで三井物産 エネルギーソリューション本部 New Downstream事業部 新事業開発室に出向。