最終更新日 2023.9.26

脱炭素のために私たちができること|楽しみながら取り組む博報堂のSDGs(Earth hacks vol.1)

2015年に国連で採択されたSDGsが世界的に浸透し、社会全体が脱炭素に向けて大きく変化する一方で、なかなかアクションに結びつかないという課題が存在します。博報堂の独自調査では、日本人の8割の人が脱炭素を認知し、興味を持っているものの、そのうちの7割以上の人が行動に移していないという実態が明らかになりました。

そんな課題を解決するために生まれたのが、博報堂と三井物産、博報堂ケトル、SIGNINGの4社が共同で立ち上げたEarth hacks。生活者一人ひとりのアクションで脱炭素社会を推進する共創型プラットフォームです。

Earth hacksを2回にわたってご紹介する記事の第1回では、脱炭素を取り巻くグローバルの概況や、Earth hacksのベースとなる考え方についてご説明します。

第2回はこちらから:デカボスコアで脱炭素を捉え直す|導入企業が増加する博報堂のSDGs(Earth hacks vol.2)


博報堂では、自分にも、まわりにも、地球にも意外とアリな“新しい選択肢”「Earth hacks」を提供しています。⇒サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちら

目次

脱炭素を取り巻く環境と、博報堂にできること

新聞やテレビでは、連日のようにSDGsや脱炭素に関する話題が報じられています。ただし、その多くは国や企業を主語としたもので、生活者の脱炭素アクションに結びついていないのが現状です。消費ベースでの生活者のCO2排出量は全体の61%を占めており、どんなに国や企業が努力しても、生活者の行動が変わらない限り、カーボンニュートラルの達成は難しいといえます。

ビジネス的な観点で捉えると、2021年に行われたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)において、世界全体の金融資産の約4割にあたる計130兆ドル(約1京4,800兆円)にのぼる世界の民間金融機関が、投融資により脱炭素を後押しすると連名で表明するなど、脱炭素には大きなビジネスチャンスが存在します。すでに海外では生活者向けの脱炭素関連のサービスやソリューション領域が急成長を遂げ、品質や価格以上に環境価値を重視する“緑の消費者”が増加しています。

一方で、SDGsを“売り物”にすることに抵抗感が強い日本は市場から取り残されており、博報堂にはそうした状況を打破したいという想いがありました。

脱炭素を、やらなければいけない“守り”の視点ではなく、生活者視点で、前向きに、楽しみながら取り組むものに変えられないか?そして、カーボンニュートラルの達成目標である2050年に、生活者が笑顔あふれる幸せな毎日を送ってほしい。同時に、企業にとっても企業価値を高めるための武器として、“攻め”の視点で脱炭素に取り組んでほしい。そんな想いを形にするために、Earth hacksのプロジェクトは始動しました。

脱炭素社会を推進する共創型プラットフォーム「Earth hacks」のご紹介資料は、こちらより無料ダウンロードいただけます。

楽しみながら脱炭素を取り組むためには何が必要か?

では、前向きに、楽しみながら脱炭素に取り組むためには何が必要でしょうか?

脱炭素のアクションの第一歩を踏み出せない生活者が多い中で、博報堂の独自調査では、日本人の8割の人が脱炭素を認知し、興味を持っているものの、そのうちの7割以上の人がアクションに移していないという裏付けが出ています。

主な理由は「自分が何をすれば貢献できるのか、よくわからない」「手軽に取り組めそうなものがわからない」「脱炭素社会に関連する情報が少ない」などが上位を占めました。

「脱炭素」まだ実践できていない理由

例えば、サステナブルを前面に押し出した商品を販売しても、生活者の購入には結びつきづらい部分があります。

一般的な商品を購入するときと同じように、そこに「ほしい」「うれしい」「楽しい」「かわいい」「おしゃれ」といった欲望、納得して共感できるようなストーリーがなければ、商品の購入には至りません。どんなに地球の未来のためになるといっても、かっこ悪い服は着たくないし、マズい料理は食べたくない。脱炭素アクションの第一歩を促すためには、そうした生活者の心理を捉える必要があると考えました。

つまり、あくまでも生活者がポジティブに選ぶもの、普段使っているものにサステナブルという価値を加えることが重要です。博報堂の独自調査では、環境価値を強調されてから商品を購入するよりも、購入後に環境価値がわかったほうが心理的にポジティブであることも明らかになっています。

Z世代社員の社内ヒアリング調査上記のZ世代社員の社内ヒアリング調査を踏まえると、いわゆるマーケティング的な発想である商品の認知〜理解〜興味のプロセスは、サステナブルと相性があまり良くありません。

一方、商品を好きになるファン化や、リピーターづくりにはサステナブルが効果を発揮することが、日本独自の脱炭素やサステナブルの捉え方だといえるでしょう。

さらに、「この商品は環境に貢献しています」と抽象的に伝えても実感がわかないため、どれくらい環境に貢献しているのかを可視化・数値化することで、よりアクションを起こしやすくなることも、独自調査によってわかってきました。

生活者視点から脱炭素アクションを促すときに重要なのは、商品への欲望とストーリー、そして可視化された環境への貢献度。Earth hacksには、独自調査から浮かび上がったこの2つの考え方が活かされています。

脱炭素アクションに必要なトリガーは2つ

Earth hacksのベースは生活者視点とパートナー主義

これまでのご説明からもわかるように、Earth hacksは博報堂の強みである生活者視点がベースとなっています。博報堂におけるEarth hacksの運営部署であるミライの事業室は、SDGsや街づくり、高齢化社会、アフターコロナといった社会的なテーマに生活者視点で取り組み、新規事業を通じた社会課題解決を目指しています。

博報堂のもう1つの強みとして、パートナー主義があります。ミライの事業室でも、クライアント企業はもちろん、行政やメディア、学生など、さまざまなステークホルダーをチームとして組織し、事業を作り上げています。この生活者視点×パートナー主義という、博報堂の2つの強みは、Earth hacksに多分に活かされています。

パートナー主義に基づき、Earth hacksは三井物産と共同で推進しています。博報堂が持つ生活者視点やクリエイティビティと、三井物産が持つグローバルなネットワークとプレゼンス、総合力をかけ合わせることで、脱炭素社会の実現を目指しています。

三井物産がCO2排出量可視化ツールをはじめとする海外の脱炭素ソリューションを日本にいち早く導入し、博報堂がそれらを日本向けに、生活者視点に落とし込んでいくプラットフォームがEarth hacksなのです。

また、Earth hacksのサイト運営や情報発信については、企業のサーキュラーエコノミー化を支援する専門チームを有する博報堂ケトル、社会の課題解決と企業の新たな成長のためのソリューションを提供するソーシャルビジネススタジオ・SIGNINGが行っています。


博報堂では、自分にも、まわりにも、地球にも意外とアリな“新しい選択肢”「Earth hacks」を提供しています。⇒サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちら

第2回はこちらから:デカボスコアで脱炭素を捉え直す|導入企業が増加する博報堂のSDGs(Earth hacks vol.2)

関根 澄人(せきね すみひと)

関根 澄人(せきね すみひと)

株式会社博報堂 ミライの事業室
Earth hacks

東京工業大学大学院生命理工学研究科生体システム専攻修了。細胞学を研究しながら、生物多様性や地球温暖化など環境問題を伝えていくことを仕事にしたいと思い、博報堂に入社。入社後は営業として様々な企業のブランディングなどを担当し、2019年に博報堂従業員組合の委員長を経て、2020年よりミライの事業室ビジネスデザインディレクター。2020年4月から2023年3月まで三井物産 エネルギーソリューション本部 New Downstream事業部 新事業開発室に出向。

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