最終更新日 2024.11.29

IDベースマーケティングで顧客体験を革新する方法|ウェビナーレポート(前編)

2024年9月5日、顧客ID統合でマーケティングDXを実現する「IDベースマーケティング」について紹介するウェビナーを実施しました。

顧客ニーズが多様化し、生活者視点のマーケティング施策が、どの企業にも求められているなか、データのサイロ化やカスタマージャーニーの分断、運用コストの増大といった課題に悩まれている企業も多いのではないでしょうか。

ウェビナーでは、博報堂がご支援した事例や、IDベースマーケティングの導入効果を詳しく紹介し、沢山の方にご視聴いただきましたので、その模様をお伝えします。

登壇者
上田周平(博報堂CRM&システムコンサルティング局 CRM推進グループGM)

サービス開発・基盤構築でお困りの方へ
博報堂では、 DX事業構想のコンサルティングから、CRMやデータドリブンマーケティングのシステム企画・開発、そしてマーケティングテクノロジーを活用した運用まで、各分野の専門家が一貫してサポートします。詳しくは、以下からサービス資料をご確認ください。

目次

なぜIDベースマーケティングが必要なのか?

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はじめに、企業活動を取り巻く環境の変化についてお話させていただきます。

昨今よく言われるのは、生活者の価値基準がモノの所有から体験や成果にシフトしてきているということです。それに伴い、サービスの選択権は提供者である企業から、生活者へ移ってきていることも見逃せません。

SNSの浸透により、生活者は自分が選んだ情報に基づいてサービスや商品を選ぶようになってきています。そして、プラットフォーマーである企業が届けるサービスは、 “中毒になるような” クオリティの高さが求められています。

こうした変化により、企業にとってのビジネスのゴールも、 “高額・多数の単発取引” から “親密な継続取引” へとシフトし、いわばLTV最大化ということが事業収益にとっての目標になっていると言えます。

もはや、認知をしてもらい、生活者の手が届く場所に商品を置くことを目指す従来のマーケティングではなく、生活者にサービスや商品の価値を体験してもらい、それを持続させることで、生活者との長い関係を作っていくことが求められているのです。

テクノロジーの進化という側面での変化も、ビジネスを進める上で大きな影響があります。まず顕著なのは「システム/ツールのSaaS化」です。マーケティングシステムが手頃な投資サイズで導入できるようになり、誰もが扱えるユーザーフレンドリーなUIになってきました。
SaaS化: 企業や個人が自社のソフトウェアをSoftware as a Serviceとして提供する形態に移行すること。

また、データの処理に関しても、従来は大規模システムで長時間かかった処理が、スピーディーに実現できるようになりました。さらに、機械学習の定着と生成AIの台頭により、蓄積したデータの利活用が飛躍的に拡大しました。

その一方で気を付けなくてはならないのが、個人情報の規制です。とくにCookieデータの利用に関してはかなり制限されてきています。

こうした様々な要因を踏まえた上で、企業としては、テクノロジーを効果的に活用し、適切にデータを扱い、生活者への理解に基づくコミュニケーションで、体験を届けることが必要になってきています。

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企業にとって、生活者との関係づくりのプロセスは、「商品やサービスに出会う/体験する」ことから始まり、「理解に基づくコミュニケーションを継続」させることで「ロイヤリティを向上させる」という流れで理解されています。

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これを企業側のやるべきこと(To Do)と照らし合わせると、「Webサイト・アプリ・SNSなどのデジタルタッチポイントの強化」を通じて体験を届け、いわゆる「ファーストパーティーデータ」により “顧客の見える化”を図り、蓄積データで顧客をしっかり理解することで、利用継続施策を検討しながらロイヤリティの向上に繋げていく、そういう流れになると思います。

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こうした世の中の変化や企業を取り巻く環境の変化に伴い、私たち博報堂への期待やニーズも、「フルファネルの支援」に変わってきています。

従来は、総合広告会社として、 “マーケティング・広告ファネル” が業務領域のメインでしたが、昨今は、生活者との長い関係づくりを目指す“継続利用”に業務のスコープが拡大しています。

ここまでの話をあらためて整理すると、LTV型事業成功のポイントは、生活者をOne IDで捉え、そのIDに紐づいた蓄積データで理解することで、各タッチポイントを跨いだ体験を届けることだと言えます。

言い換えると、IDベースマーケティングが正しく実行できることが事業の成長に繋がると結論づけられます。

IDベースマーケティングのポイント

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IDベースマーケティングを定義すると、生活者にとってはタッチポイントをまたいで連続したサービスが受けられること、企業やブランド側の視点では、タッチポイントをまたいで連続したコミュニケーション体験を提供することと定義づけられます。

ただし現実的には、一足飛びで実現できるものではありません。まず、多くの企業は、あらゆるサービスやIDが乱立している状況だと推測されます。

こうした状況の中で、まずどこから手をつければいいのか。それは、乱立するデータを集約・統合し、顧客データの基盤を作ることです。

そして次に必要になるのが、共通のID認証基盤です。この時、利用規約の改変ということも併せて行う必要があるかもしれません。

そして最後に、IDの統合を踏まえたサービス(体験)の開発というフェーズに入ります。場合によっては、組織や業務の改変が求められるでしょう。

各段階における生活者の意識も考慮しなければなりません。たとえば、顧客データの統合やIDの統合は、企業にとって重要な意味を持ちますが、生活者にとっては体感しづらいことです。

つまり、最終的に生活者にメリットを感じてもらって、使いやすいサービスを統合してはじめて、IDベースマーケティングは成功します。このことを念頭に置きながら、推進していくことが必要です。

あらためてIDベースマーケティングを実行する上でのポイントを整理すると、3つあります。

  • いきなり高い理想像を掲げのではなく、“Can Be”つまり実現できることから段階的に取り組むこと。
  • システム単体のプロジェクトにするのではなく、組織全体での取り組みとして位置づけ、ビジネスとITを常にブリッジすること。
  • ID統合をただ目指すのではなく、生活者にとってメリットのある統合ということを考えながら取り組むこと。もっと言うと、サービス開発を伴わないID統合は、生活者には受け入れられないということを忘れてはいけません。

 

 レポート後編はこちらから⇒IDベースマーケティング が実現しない理由|ウェビナーレポート(後編)

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BIZ GARAGE 編集部

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