2024年7月25日、各地域の自治体・事業者を支援するHAKUHODO EC+ 「地域DXソリューション」のチームが、新メニューを含む12の地域DX支援メニューを紹介するウェビナーを実施しました。
エリアを問わない販売チャネル増加で、地方に大きなビジネスチャンスが到来する今、「観光DX」「グローバル進出」「ふるさと納税」「ECスタートアップ」「自社EC立ち上げ」「地域オフライン出店」といった多くの企業や自治体の方が注目する新支援メニューが追加され、沢山の方にご視聴いただきましたので、その模様をお伝えします。
後編の本記事では、先日リリースされた6つのDX支援メニューを詳しく掘り下げます。
前編はこちら⇒地方事業者の重要課題「関係人口の創出」 HAKUHODO EC+が12のDX支援メニューで解決|ウェビナーレポート(前編)
登壇者
桑嶋 剛史(博報堂 地域DXソリューションリーダー)
濵畑 麻希子(博報堂プロダクツ)
目次
ソリューションアップデートについて~6つの新ソリューション
桑嶋 剛史(博報堂 地域DXソリューションリーダー)
「地域DXソリューション」は2023年のリリース後から、様々な自治体・事業者の皆さまからお問い合わせ、ご好評をいただき、サポートを実施してきました。
その一方で、現状のソリューション以外にも、サポートが必要な領域が見つかり、このたび新たに、6つのソリューションをVer.2という形でアップデートしました。
これによって、次々と新しい課題が生まれる地域事業者・地方自治体のサポート体制を、さらに強化していきたいと思います。
具体的なソリューションは、「ふるさと納税」「自社EC立ち上げ」「グローバル進出」「ECスタートアップ」「地域観光DX」「地域オフライン出店」の6つです。
新ソリューション紹介~観光/グローバル領域の支援について
観光DXソリューション
まず、「観光DXソリューション」についてですが、ヒトとモノの移動が正常化されたことで、各地域で“観光”を促進する取り組みへの需要が高まっています。
一方で、観光に関する取り組みの多くは、「交流人口」の増加に主眼が置かれたものがほとんどで、いわゆる「関係人口」増加に結び付かないものが多いという現状課題があります。
一度観光に来て満足してもらう「交流人口」ももちろん重要ですが、これからはより多様な人材が地域づくりに参画できるような「関係人口」を増やしていくことが求められます。
今回リリースしたソリューションはそうした視点のもと、観光施策のDX化を一気通貫でサポートし、観光情報の提供にとどまらない取組みにも対応し、観光誘客を多面的に支援することを目指しています。
私たちが目指す観光DXは、以下の4つのSTEPで考えています。
STEP1|観光情報を伝える基礎づくり
生活者インサイトやデジタル上での拡散戦略を知り尽くす専門スタッフが、観光情報の紹介ページやSNSアカウントなど、情報発信の基礎を作り、サポートします。
STEP2|観光情報の拡散
博報堂DYグループだからこそ実現が可能な、番組タイアップやSNS施策を通じ、広く情報を広めていきます。
STEP3|相互送客・マーケティング
豊富なデジタル施策やデータマーケティングの知見を活かし、ユーザーの相互送客や、誘客につながるマーケティング・CRMプログラム設計を推進します。データを活用した施策では、既存のマクロデータに加え、施策を通して獲得したIDデータを活用します。
STEP4|さらなる収益獲得
ここが当ソリューションの肝になります。ただ観光誘客のデータマーケティングを行うだけでは、真の意味での関係人口の創出は行えません。HAKUHODO EC+のもつ物産支援のスキームを連携させ、観光の枠にとどまらないファン化を支援します。
具体的には、ふるさと納税・物産品モールなどの機能を観光紹介ページと連携させ、デジタル会員証プログラムによって観光外でのつながりを実現。新たな集客・収益源を実現します。
STEP1~STEP2は、「交流人口」の増加につながり、STEP3~STEP4では、「関係人口」の増加を目指します。
つまり、観光サイトを軸に、誘客・収益獲得を図りながら、関係人口を増加させていく取組みです。
グローバル進出支援ソリューション
続いて、グローバル領域に関するソリューションです。海外に向けて展開していきたいという願望を抱きながらも、基礎知識の不足により、どこから手をつければいいのかを考えあぐねている事業者や自治体も多いのではないかと思います。
そうした課題に応えるために、私たちは「グローバル進出支援ソリューション」を開発しました。
このソリューションでは、基礎知識のインプット(勉強会の提供)から、戦略・戦術策定、参入実行までをワンストップで提供させていただきます。
また、博報堂グループでは、アジアASEAN圏にいろいろな拠点を持っています。こうした各拠点や日本国内のグローバル対応チームを含めて、総勢700名規模での対応が可能です。
ある官公庁系団体の業務で、日本の海産品の新たな販路として台湾でのECサイトを制作し、キャンペーン施策を実施した実績もあります。
新ソリューション紹介~ふるさと納税/物販領域の支援について
濵畑 麻希子(博報堂プロダクツ)
私からは、4つのソリューションをご紹介させていただきます。
ふるさと納税ソリューション
まず「ふるさと納税ソリューション」です。平成27年以降急拡大しているふるさと納税の市場は、制度がたびたび変更されていて、変化の激しいマーケットです。
総務省より2025年に、ふるさと納税のポータルサイトにおけるポイント付与を禁止するとの方針発表※もありましたが、このような度重なるルール変更にも対応可能です。柔軟な体制とプランニングで、私たち博報堂グループはコンサルティングから事業運用支援プロジェクトマネジメントまで、ふるさと納税領域をトータルでサポートします。
(※参考|総務省「ふるさと納税の指定基準の見直し等」)
まず店舗運営・制作については、博報堂プロダクツが担当します。ページ制作から返礼品開発支援、コールセンターや寄付者対応、独自サイトの立ち上げまで、事務局として全ての領域に対応できるので、寄附額アップや業務負担軽減への貢献が可能です。
さらに広告運用については、博報堂DYグループのソウルドアウトにて対応します。ふるさと納税興味関心層や富裕層、エリア別などユーザーをターゲティングすることで、効率よく寄附者の獲得を狙います。
広告運用のプロがリーチ最大化のメディアプランニングから運用までを担い、外部モール型への出店する場合はもちろん、自治体独自で特設サイトを立ち上げたい場合であっても、全領域対応できるのがこのソリューションの強みです。
実際、博報堂グループでは、数多くのふるさと納税事務局業務を受託しています。
地域事業者向け自社EC立ち上げソリューション
続きまして「地域事業者向け自社EC立ち上げソリューション」のご紹介です。EC事業の円滑な運営にとって、事業の根幹と言っても過言ではないカートシステムの選定をサポートするのが、このソリューションです。
昨今、ECに求められる機能は様々ですが、基本的な決済機能の役割だけでなく、SNSとの連携商品ランキングやレビュー時のポイント付与、MAツールとしての役割が求められるケースも多くなっています。
そうした背景を踏まえ、私たちは、決済代行会社や物流会社といった外部システムとの繋ぎ込みを設計し、既存システムなども考慮しながら、ECシステムとしての必要な機能を有機的に構築します。
まず要件のヒアリングをもとに、各種カートシステムをスコアリングしご提案、要件定義、構築という流れでサポートします。
なお、博報堂グループでは直近、オリジナルカードシステムの「EC Cart +」をローンチしました。特徴としては、ライブコマースの機能を標準搭載したほか、購入パネルにおいてはモール型EC機能、顧客維持育成パネルにおいては通常のMA機能に加えて、CRM機能を搭載し、顧客の囲い込みをより促進することが可能です。
主な事例として、自社ECのリニューアルをご相談いただいた酒造メーカーに対しては、スコアリングをもとに、カードシステム選定をコンサルティング運用までを実施しました。
ECスタートアップ支援ソリューション
続いてご紹介するのが「ECスタートアップ支援ソリューション」です。ECを立ち上げたものの想定した実績が出ていない、事業の見直しや新たな事業戦略を描きたいけれども社内の知見やリソースが不足している、そういった課題を抱える事業者向けに、課題特定や事業分析から最終的な実装運用支援までを、一貫してサポートするソリューションです。
課題特定・事業分析においては、コマース領域全体を俯瞰して分析課題や成長余地領域を導き出します。そしてその結果をもとに、事業者と並走しながら事業戦略や事業計画を策定します。
さらに事業計画に基づいた販促やCRM、商品開発等の実行計画を策定・実装、運用まで一気通貫で行います。これらは要件ごとに博報堂グループ内のプロフェッショナルをアサインして、しかるべき体制を整えて臨みます。
地域オフライン出展支援ソリューション
最後にご紹介するのが「地域オフライン出展支援ソリューション」です。ECの売上拡大を加速させるためには、お客様とのリアル接点の創出も重要です。
特にふるさと納税領域においては、物産品のテストマーケティングや自治体のプロモーションをリアルの場で実施し認知を広げることで、ふるさと納税寄附に繋げることが求められます。
私たちは豊富な実績に基づくノウハウで、全体の企画、会場選定、デザイン、オペレーションといったプランニングだけでなく、イベントの運営、終了後の検証までを一気通貫でサポートします。さらに、どこまで誘客できたかを計測することも可能です。
最後に
桑嶋 剛史(博報堂 地域DXソリューションリーダー)
本日は「地域DXソリューション」の今までの活動と6つのソリューションメニュー、さらに新たな課題やニーズを受けて新たに立ち上げたもう6つのソリューションメニューに関して、その内容と私たちの思いをお話させていただきました。
ただし、皆様が抱える課題やニーズはさまざまだと思いますので、ぜひ個別にご相談させていただければと思います。本日はありがとうございました。
プロフィール
桑嶋 剛史
株式会社 博報堂
コマースコンサルティング局 HAKUHODO EC+
ビジネスコンサルタント/地域DXソリューションリーダー
通販事業の運営チームを経て、博報堂のEC支援チームの旗揚げに参画。米国Kepler社への短期出向を経て、現職。ECを軸に、新規ビジネスの立ち上げや変革、事業設計を得意とする。各種講師や記事/書籍執筆なども担当。HAKUHODO EC+の地域DXソリューションリーダーを務める。
濵畑 麻希子
株式会社 博報堂プロダクツ
コマーステクノロジー事業本部 HAKUHODO EC+コマースマーケティングコンサルタント
2014年に博報堂プロダクツへ中途入社以降、各種メーカーの通販事業やデジタル領域を支援、大手食品メーカーや外資系家電メーカーにて、CRM領域を中心に戦略立案から施策設計、実施、顧客データ分析まで、長期にわたりプロデュースを行う。また得意先事業支援の中でも戦略策定時の課題抽出や社内勉強会の推進など、ワークショップ推進の経験も豊富。
BIZ GARAGE 編集部
ビジネスをとりまく環境の大きな変化により、最適な手立てを見つけることが求められる現代。
BIZ GARAGEのコラムでは、生活者の心を動かし、ビジネスを動かすために、博報堂グループのソリューションや取り組みのご紹介、新しいビジネスの潮流などをわかりやすく解説しています。