最終更新日 2024.8.15

【BtoB事業のDX推進成功事例】顧客とつながり続けるビジネスモデルの作り方|ウェビナーレポート (前編)

20247月11日、顧客との継続的なつながりを促進するDX推進の支援事例を紹介するウェビナーを実施しました。実際に支援した博報堂のB2B専門チームの担当者が登壇するということで、多くの方にご視聴いただきましたので、その模様をお伝えします。  

ウェビナーでは、リスクコンサルティング事業を営むMS&ADインターリスク総研の海司氏と山田氏が登壇。

リスク対策の会員プラットフォーム「RM NAVI」の開発事例をもとに、開発背景や、現場に立ちはだかる壁、その壁をどのように乗り越えたのかを、博報堂の支援チームメンバーと共に語っていただきました。

登壇者
海司 昌弘 氏(MS&ADインターリスク総研)
山田 尚利 氏(同上)
池田 善行(博報堂)
鳥居 宏行(同上)
*以下、敬称略

サービス開発・基盤構築でお困りの方へ
博報堂では、マーケティングシステム開発・実装プロセスの高速・高度化を支援する 「Marsys Archetyping」を提供しています。ビジネスやサービスの全体を俯瞰した開発プロセスでマーケティングシステムの実効性向上をめざします。

目次

はじめに

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池田 本日のウェビナーは、「B2B事業のDX推進に立ちはだかる壁の攻略法~リスク対策に役立つ新プラットフォーム『RM NAVI』の実例から学ぶ~」というテーマで、私たち博報堂チームがサポートさせていただいた、MS&ADインターリスク総研の事例をご紹介します。

B2B事業のDXを進行させていく中で重要なのが、顧客企業と継続的につながり続けるビジネスモデルを創造していくことです。

私達はそれを「顧客体験プラットフォーム」と呼んでいますが、お客様にラーニングの機会を提供したり、導入を検討していく際の資料を提供したり、初期導入のサポートをオンボーディングしたり、顧客の皆様のビジネスの成功を支援して、そのことで自社のビジネスも成功するというWin-Winの関係と仕組みを作ることが求められます。

本日は、私たち博報堂チームが、MS&ADインターリスク総研の新たなプラットフォームづくりを支援する中で、現場チームの前に立ちはだかった4つの壁について、それらの障壁をどのような工夫で乗り越えていったのかを中心にお話しします。

まず本題に入る前に、リスク対策の会員制プラットフォーム「RM NAVI」について、MS&ADインターリスク総研の海司さんからご紹介いただきます。

海司 まず、MS&ADインターリスク総研の概要について、簡単に説明させていただきます。私たちは三井住友海上グループ、あいおいニッセイ同和損保グループなど、保険会社を核としたグループで、リスクマネジメントに関する様々なコンサルティングを提供しています。

サービスの領域は主に火災、自然災害、労働災害、PL(製造物責任)といった様々なメニューから、最近ではサステナビリティ、BCP、サイバーセキュリティといった領域にも事業を展開しています。

今回、博報堂チームのお力を借りて立ち上げた、リスク対策に役立つ「RM NAVI」という新たなプラットフォーム。コンセプトは、我々が培ってきたリスクマネジメントに関するコンサルタントの知見や経験を活用しながら、同時に、最先端のデジタルサービスを使い、リスクに強い組織作りをサポートする、というものです。

従来の対面のコンサルティングビジネススタイルにプラスして、デジタルプラットフォームを活用したビジネスモデルを志向しており、お客様と双方向でのビジネスを可能にすることを目指しています。

参考:博報堂が開発支援をしたリスクマネジメントに関する会員プラットフォーム『RM NAVI』 

「RM NAVI」プロジェクトを進めていく中で直面した4つの壁

  • 「ビジネスモデル実現」の壁
  • 「顧客視点のUX設計」の壁
  • 「社内組織横断」の壁
  • 「システム実装に向けて」の壁

「ビジネスモデル実現の壁」をどう攻略したのか

ビジネスモデル実現の壁

池田 まず一つ目の壁についてですが、「コンサルビジネスから顧客プラットフォームのビジネスモデルの変化をどう検討したのか」という点についてお聞かせください。

山田  元々、私たちはリスクマネジメントの領域を担ってきた企業ですが、2020年前後から、DXを推進していこうということで、例えばデータ利活用のビジネスの検討や、DXシステムの立ち上げに関する取り組みが本格的に動き出し、実際、社内にも「デジタルイノベーション本部」という組織ができました。

グループの中期経営計画の中でも、補償・保障前後のサービス領域を、MS&ADインターリスク総研を中核としたグループ一体型運営で強化し、シームレスなリスクマネジメントサービスを提供することが定義されました。

リスクマネジメントの取り組みは、普段のPDCAを回して進めていくものですが、その中でもリスクを見つけて伝えるという未然の予防と、経済的な負担を少なくする万全な補償・保障が重要になってきます。

また、実際にリスクが顕在化したときには、損害の最小化、迅速な回復が求められます。その前後の部分をリスクマネジメントの領域からさらに広げて具体的にサービスやデジタルデータの活用ということで提供してきました。

従来のコンサルティングビジネスは、お客様からのお問い合わせをベースに、個々のコンサルタントが担当してきましたが、各種サービスやデータの販売ということを考えると、直接お客様にアプローチすることができ、コミュニケーションも可能な新しいビジネスモデル=顧客プラットフォームが必要になります。

今回のプロジェクトは、そのような課題のもとで進めていきました。

池田 なるほど。グループのリソースをデジタルの中でまとめていくとか、事前から事後までお客様とつながり続けるために、データやデジタルの仕組みが必要になっていったというわけですね。

では、収益化戦略を成功させるために、どのような施策を講じたのでしょうか?

海司 従来から、社外向けのホームページで、各種リスク関係のレポートやセミナーの案内等はしていたのですが、一方通行なものでした。

これからはやはり、双方向のコミュニケーションが必要だということで、新たなプラットフォームの構築を目指したわけですが、一番キーとなったのは会員登録です。今回の「RM NAVI」では、無料会員登録をいかに促進するかということに腐心しました。

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そうしてご登録いただいたお客様には、レポートコンテンツで最新のトレンド情報を届けたり、200名前後のコンサルタントがそれぞれ得意とする領域に関して執筆した、コンサルタントコラムをタイムリーに提供したりしています。

また、さまざまなリスクに対処するコンサルティングメニューや、デジタルソリューションなども充実させております。

池田 顧客プラットフォームを新しく作るということではありますが、まず自社の中に眠っている魅力的なコンテンツや情報資産の棚卸を、かなり綿密にやられたということですね。

無料で登録していただいたお客様にとって、専門家のノウハウが詰まったレポートやブログ記事といったコンテンツは魅力的だし、モチベーションを上げることにもつながりますよね。

私たち博報堂チームも、第三者の視点で情報資産の棚卸にご協力させていただきましたが、そこが今回のプラットフォームがブレークスルーできた一つの要因だったと思います。

「顧客視点のUX設計の壁」をどう攻略したのか

顧客視点のUX設計の壁

池田 次は、顧客視点のUX設計の壁ですが、 顧客の興味関心を惹きつけるためにどのような工夫をしていったのでしょうか?

山田 私たちはリスクマネジメントという領域の専業なので、UXの知見があまりありませんでした。

プラットフォームを立ち上げてDXを進めるということを掲げても、それをどんなふうに実現するのかということに関しては、どうしても外部の知見や支援が必要でした。

併せて、マーケットニーズのリサーチも必要だろうという課題意識があったので、博報堂チームの皆さんにお声がけさせていただきました。

ご提案の中で、「GRIP & GROWTH」という、顧客体験プラットフォームの戦略・設計をワンストップで支援するB2B専門チームをご紹介いただきスタートしました。この取組みに関しては、池田さんにご説明をお願いします。

池田 まずは、顧客に関して徹底的なリサーチをして、ワークショップもやりながら、提供価値を絞り込んでいったわけですが、リスクマネジメントの専門家ではない私たちの目から感じられたのは、「多様なセグメントのお客様がいるな」ということでした。

大中小という企業規模や、人事、情報セキュリティといった部門も様々で、実際のニーズも想像以上に多様だと感じました。

そんな中で、壁を乗り越える一番のポイントは、最初にどうゴールを設定すべきかということです。

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今回アプローチしたのは、プラットフォームの顔を作っていくことでしたが、多様なお客様のニーズを、ある程度絞り込んで共通するニーズを抽出するために、調査を実施しました。

顧客層に共通するニーズを探りあてることは、プラットフォームを作っていく上で重要です。その際に、どんなサービスが欲しいかというニーズを聞くのではなくて、お客様の企業のリスクマネジメント業務のプロセスの中で、どのような困りごとがあるのかを聞いて、その困りごとを解決するものを考えようということが重要です。

今回はそこが上手くいき、見事に共通のニーズが見えてきたと思います。

レポート続編はこちらから⇒顧客体験プラットフォームを起点としたBtoB事業の可能性|ウェビナーレポート (後編)

博報堂では、BtoB企業のマーケティング&セールス領域のDXを全面サポートする「GRIP & GROWTH」を提供しています。⇒サービス紹介ページはこちら

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BIZ GARAGE 編集部

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