最終更新日 2023.8.14

DX組織と現場事業組織のシナジーを生み出す「DX組織自走化支援」

現在、多くの企業でデジタル戦略部門やDX推進部門などのDX化を目的とした横断組織の立ち上げが行われています。また一方で、経営層・DX担当・現場事業部門とのDXへの見解の違いや連携不備などの理由から、立ち上げた組織が機能化できていない企業も少なくありません。

今回のコラムでは、DX推進における課題を組織連携で解決する博報堂のソリューション「DX組織自走化支援」についてご紹介します。

目次

なぜ、多くの企業で横断的なDX推進が難航しているのか?

前提となる考え方として、DXは3つのレベルに分けて捉えることができます。

レベル1:Digitization(デジタイゼーション)

チャットツールの導入や業務管理の見える化など、業務プロセスの効率化を図るために業務の一部分をデジタル化すること。

レベル2:Digitalization(デジタライゼーション)

業務全体に関わるツールを導入することで、業務プロセスそのものの変革を狙うこと。

レベル3:Digitai Transformation(デジタルトランスフォーメーション)

サブスク事業を新たに始めるなど、ビジネスモデルや企業のあり方に変革が伴うこと。

改革レベル1~3

それぞれのレベルによって、ノウハウやKPIは異なります。しかし、いずれのレベルにおいても、DX組織と現場事業部門との連携が必須であり、連携が取れていないとさまざまな課題にぶつかってしまいます。

では、具体的な課題とそれに対応した「DX組織自走化支援」のソリューション内容を紹介します。

課題1:テクノロジー導入を進める人材不足

DXと聞いて想像しやすい取り組みであるのと、目の前の業務効率化が目的であることから、レベル1,2については現場事業組織から数多くの要望がDX組織へ入ります。

また、経営陣がイメージするDXもレベル1,2であることが多く、ミッションとして業務を与えられるケースも見られます。多くの要望を捌いていかなければならない状況の中で、対応できる人員が不足しているほか、さまざまなテクノロジーやツールに対応できる専門性の幅も補填していかなければなりません。

この課題について「DX組織自走化支援」では、それらの要望に応えていく活動を支援しながら専門性を移管していきます。場合によっては、常駐することも可能です。さらに集まる要望を整理し、必要な人材要件・スキル一覧を作成するほか、人材育成の支援や外部テクノロジー会社とのアライアンスづくりや人材を補填するための採用ブランディングなども支援し、最終的には内製化と自走を見据えたトータルサポートを行います。

課題1:テクノロジー導入を進める人材不足

課題2:ビジネスモデルの変革(レベル3)への取り組みが起こらない

企業の中にはレベル3のDXを志向するケースも多く見られます。一方でDX組織はコストセンターであることが多く、潤沢な予算を持っていません。つまり、ビジネスモデルの変革のような大きな取り組みを行うためには、現場事業組織を巻き込んでいくことが重要になります。しかし、DXが意味するものがレベル1,2のみだと誤認され、レベル3のような本来の意味でのDXがさほど認識されていないなどの理由から、現場事業組織や経営陣からそのようなニーズが自発的に生まれなかったり、ニーズがあったとしても横断組織まで要望が届かなかったりします。

そのため、レベル3の取り組みはレベル1,2と異なり、DX組織が自発的に周囲を巻き込みながらリードして進めていくことが特長です。また、既存の事業セグメントの中で考えることは現場事業部門の役割であるため、既存の事業セグメントの範囲を横断するようなテーマを考えることがポイントです。

「DX組織自走化支援」では、DX組織が現場事業組織を巻き込みながら、既存の事業セグメントを横断するような事業テーマの探索や具体的な立ち上げ支援まで幅広く支援しています。具体的な支援内容としては、アイデアを生み出すためのワークショップの実施や、アイデアに対してテストトライアルを代行し、事業のKSF仮説の組み立て、ローンチ時におけるマーケティングの実装など。また、ビジネスモデルの変革を進めるためには、ヒト・モノ・カネの適切な提供を行うマネジメントプロセスが必要です。そのためにも、「DX組織自走化支援」は事業を生み出すというテーマを通じて、組織連携のあり方とマネジメントプロセスの開発を同時に支援しています。

課題2:ビジネスモデルの変革(レベル3)への取り組みが起こらない

課題3:現場事業部門を上手く巻き込めない

レベル1,2,3に限らず、DX組織と現場事業組織とでプロジェクトを進める際、何も進まないまま形骸化してしまうという問題が起こり得ます。これは両者の思惑が完全に一致しないためであり、“なんとなく”定例会が開かれ、“なんとなく”情報共有がされるだけで終わってしまっている可能性があります。だからこそ、予算と権限をどちらの事業部が持つのかといったように、連携プロセスを明確にすることが必要です。

これに対して「DX組織自走化支援」では、連携プロセスをゼロから構築し、テーマ設定・予算化・体制構築・進捗管理・評価という一連の流れに対し、誰が・どのような基準で判断していくのかを決定していきます。この流れを考えていくためにも、課題2の取り組みをプロトタイプとして扱い、実際に走らせながら連携プログラムを完成させていくことが有効だと考えられます。

課題3:現場事業部門を上手く巻き込めない

3つの側面を持つ博報堂としてのDX組織支援

レベルに応じた対策を行うと同時に、課題を乗り越え、企業の横断的なDX推進を行うためには3つの視点を押さえることが重要です。

DXに必要な3つの視点を有する人材がDXを全方位でサポート

1.Business

現場事業部門を巻き込むには、売上・利益の向上につながるという事業性や、それを推進していくための事業プロセスを構築する必要があります。

2.Technology

次々と登場する新しいテクノジーに対応できる能力を組織が有していないと、レベル1,2の対応が進まなくなってしまう恐れがあります。

3.Customer

どのレベルにおいても、その取り組みは生活者・顧客から受け入れられるものでなければ機能しません。

3つの領域は、Businessはコンサルティングファーム、TechnologyはSIer、Customerは広告会社が特化しているという印象から、それぞれに分散的に支援を依頼していた企業も少なくないでしょう。これまでの事業であれば知見は自社が保有し、経験豊富な人材も自社に揃っているため、分散的に外部企業を入れてもコントロールすることが可能でした。しかし、DXの場合は自社にノウハウがないことが多く、複数の外部企業をコントロールすることが難しくなってしまいます。

3つの視点を同時に持ち、1つのチームとして企業横断的なDX推進を支援できることは、博報堂の大きな強みです。DXを推進するにあたって課題を抱えている担当者の方は、ぜひ、ご相談いただけますと幸いです。

荒井 友久(あらい ともひさ)

荒井 友久(あらい ともひさ)

株式会社博報堂
マーケティングシステムコンサルティング局
パートナー 兼 局長代理

2012年博報堂入社。大手SIerの経営企画を経て、大手メディアサービス企業の事業企画・事業開発・営業企画に従事。その後、経営コンサルティングファームにて第三者として事業支援を行った後、クリエイティブとの融合による、新しい事業支援のあり方を作るために博報堂に転籍し現職に至る。

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