最終更新日 2024.8.13

パーパス・バリュー起点の組織変革(後編)|ウェビナーレポート

2023年11月16日、企業理念やパーパス・バリューを起点にした強い組織づくりの取り組みを紹介するウェビナーを実施しました。実際に組織課題に取り組んだ現場担当者が登壇するということで、多くの方にご視聴いただきましたので、その模様をお伝えします。  

ウェビナーでは、アパレル分野で事業展開を行っている株式会社オンワードコーポレートデザイン 広報の三島氏と、組織を強くするクラウド型称賛カード「PRAISE CARD」の開発を担当したBIPROGY株式会社 グループマーケティング部企画推進室室長の小谷野氏が登壇。 

多様化する環境下で企業の組織改革が求められているなか、「成功循環モデル」を活用した取り組み事例について語っていただきました。 

登壇者(敬称略) 

  • 進行:依田 真幸(博報堂コンサルティング プロデューサー) 
  • ゲスト:三島 菜々子 氏(株式会社オンワードコーポレートデザイン 広報)、小谷野 圭司 氏(BIPROGY株式会社 グループマーケティング部企画推進室室長)

 

前編はこちらから⇒ウェビナーレポート|パーパス・バリュー起点の組織変革(前編)   

強い組織づくりに関心のある方へ
博報堂グループでは、自走する人材を増やし、組織を強くするクラウド型称賛カード「PRAISE CARD」 を提供しています。組織内に称賛文化が定着していくことで、越境人材を育て強い組織づくりをサポートします。

目次

博報堂グループでは、自走する人材を増やし、組織を強くするクラウド型称賛カード「PRAISE CARD」 を提供しています。⇒サービス紹介ページはこちら

 「パーパス・バリュー起点の組織変革」~オンワードコーポレートデザインが遂行した成功循環モデル 

依田 ではここから、オンワードコーポレートデザインの三島さんを交えながら、実際、三島さんたちが、どのように組織変革に取り組んだのかお聞きしたいと思います。 

三島 弊社は最近、会社名が変わったのですが、パーパス・バリューを策定する前に、いろんな課題感があったというところで4つほど披露したいと思います。まずは1つ目は、人材の育成・確保に関する課題、2つ目は事業拡張・新規開発に関する課題、3つ目は、情報発信に関する課題、そして4つ目は業務改革・効率化に関する課題でした。

PRAISECARD07パーパス・バューの策定・浸透活動全体ということでいうと、まず、全社プロジェクトでパーパス策定をやりました。次に「PRAISE CARD」という施策を導入しました。3つ目は「シンボリックアクション」、4つ目は「エンゲージメントセミナー」、最後は「表彰制度改編」です。

とにかく、パーパス・バリューを起点にして、それまでの企業活動をどんどん変えていったわけです。

PRAISECARD08まず、パーパス・バリュー策定ですが、それまでアパレルの事業を中心に行っていたのを根本的に見直し、このまま同じことやっていても企業成長していかないという問題意識や、社会に存在する意義などを検討、議論しながら作りました。従業員はもちろん、関係する企業にも協力していただき、顧客にもインタビューをしたり、全社員でワークショップをしながら作りました。

PRAISECARD09依田 パーパスを策定するだけでは会社が変わらないということで、これを起点にしてどういうふうに組織を変えていったのかというお話を聞きたいと思いますが、この時に、私たち、博報堂コンサルティングが小谷野さんと一緒に開発し実証実験中だった「PRAISE CARD」という施策を導入していただきました。 

では、ここで、小谷野さんのほうから、この「PRAISE CARD」について、詳しくご紹介していただきたいと思います。

PRAISECARD10小谷野 「PRAISE CARD」は、デジタルの称賛カードをお互いに贈り合うことで、先ほどの「成功循環モデル」にあった、「関係の質」「思考の質」を高めて「行動」「結果」を生み出す強い組織を作ることを目的に、その実現プロセスを支えていくツールです。スマホのアプリ、PCのブラウザで使えるアプリケーションになっています。 

企業が大切にしているパーパスやバリューを称賛カードという形で、それぞれの企業がオリジナルで作ります。社員は、それにふさわしい行動だなと思ったときに、カードを贈ります。メールやチャットではなく、デジタルのカードなので、簡単に素直に自分の気持ちを相手に伝えることができ、パーパス・バリューが浸透していく、共通言語化していくメリットがあります。

良い行動をしたときに称賛されるのですが、された側は嬉しいし、称賛した側は相手が喜んでくれたことで幸福感を得て関係性も高まっていく、そんなツールになっています。 

PRAISECARD11 依田 三島さんは実際に使ってみて、どうでしたか?

三島 今、小谷野さんもおっしゃっていましたが、メールとかメッセージだと、ちょっと目上の人に送りづらい、カジュアルな感情を表しづらいときがあると思いますが、この「PRAISE CARD」は上の方にも気軽に贈れて、なおかつ距離感も近く、個人的にはいいなと思いました。

小谷野 あとは、続けていただくため、カードを贈っているとだんだん自分の強みが見えてきて自己分析ができるという、ゲーミフィケーション的な要素も取り込んでいます。また、楽しみながらカードを交換することで、自然とパーパス・バリューが自分の言葉として染み込んでいく、このようなことを価値として提供しています。 

「PRAISE CARD」は称賛カードを贈る側ともらう側にわかれるのですが、実は両者にとって価値があることが、実際にやってみてわかったことです。最初は称賛カードをもらうとみんな嬉しい。それが、カードを贈っているうちに、だんだん相手を称賛することの方が楽しいっていうふうに考え方が変わってくる。

なぜかというと、称賛するために相手のことをじっくり見る必要があるので、自然と相手視点になる。相手のことをしっかり見て、いいところを見つけて称賛カードを贈ってあげる。ちょうど相手のことを考えてプレゼントを選んでいるような感覚です。これは「思考の質」が高まっている状態なので、「PRAISE CARD」を楽しみながら使っていくことは、「成功循環モデル」を実践する際にはとても有効なわけです。

依田 東京女子大の社会心理学の正木先生にいろいろアドバイスをいただいて設計をしているのですが、PRAISE CARDのデータを分析することで、どのステージにいるかが見えたり、次はこんなアクションとったらどうかってことを実戦的にやってみたり、誰から誰に称賛カードが贈られたということがデータとして残るので、ネットワーク図に落とし込むこともできます。今まで見えていなかった組織の繋がりが可視化され、隠れたハブ人材が見つかるというのも特徴的です。 

依田 まとめになりますが、「PRAISE CARD」を楽しみながら使うことで組織のコミュニケーションを活性化し、パーパス・バリューを浸透させることもできるので、どんな行動を取ればいいのかがわかり、自発的に行動する社員が増えていく。そうすると新しいアイディアがどんどん生まれてきて、イノベーティブな強い組織に変わっていく。こんなふうに考えることができると思います。さて、ここで再び、三島さんにお話しいただきたいと思います。

三島 弊社では、「PRAISE CARD」導入のときにアンバサダー制度ということを始めました。 

全国の様々な部署から5~6人集めて、定例ミーティングを立ち上げたんです。やはり、事務局が思っている以上に、現場との距離感を感じたので、組織の問題を自分ゴト化してほしいということでスタートしました。様々な部署から集まった5~6人がアンバサダーとして定例ミーティングに参加して、どうしたら「PRAISE CARD」がもっと有効に活用できるかを議論したわけです。 

そこで始まった2つの施策が、メルマガの配信とオリジナルカードの導入です。メルマガは持ち回りの担当制にして、個人的なエッセイなども入れながら毎週配信しました。これは今も継続しています。オリジナルカードに関しては、もっとゲーム感覚で楽しんで使ってもらいたいという意図で導入しました。それに、当初のバリューカードだけだと、贈りたい気持ちにあてはまらないものもあるという声があったので、メニューを追加しました。たとえば、サンキューカードとか、今週のMVPカード、良い週末のカードなどです。

PRAISECARD12PRAISECARD13依田 「PRAISE CARD」を導入したことで、社員の皆さんそれぞれの変化、あるいは組織改革の成果はありましたか? 

三島 いろいろありますが、まず、“会社の理念をよく理解できた”という人が22ポイント上がりました。あと、称賛の気持ちを伝えてもらっていると思う人が11ポイント上がりました。さらに、会社のことが好きになったという人も10ポイント増加しました。

PRAISECARD14依田 なるほど。社員の皆さんの会社に対するエンゲージメントが確実に向上したわけですね。加えて、パーパス起点でいろんな施策をやられたということですが、少し紹介していただけますか。 

三島 はい。私も実は、パーパスを決めたときに、新規事業企画参加者の募集に手を挙げたんです。そもそも新規事業ということがなかったので、何か会社が変わり始めてるぞっていう空気が社内でも生まれて、とても新鮮でした。そのシンボリックアクションのひとつが、ANA様と協働で実施した「Re-make-upプロジェクト」です。ニュースでも取り上げていただきました。

PRAISECARD15依田 素晴らしいですね。次に、「エンゲージメントセミナー」を実施されたんですね。パーパスに基づいて会社をどう変えたいかということをテーマに社内セミナーをされ、ディスカッションされたということなんですが。

PRAISECARD16三島 これもシンボリックアクションが終わった後に、従業員発のボトムアップでもっとやろうよということでスタートしました。入社3年目~35歳までの比較的若手の社員を対象に、パーパスに基づいて会社をどう変えたいかをテーマにディスカッションして、アイディアにまとめました。この時、優勝したチームのアイディアが「笑顔のシェアリングプロジェクト」というものでした。 

そのアイディアから、お客様の笑顔の前に、従業員の笑顔こそが大事だという課題意識が確認され、売上達成といった業績連動の表彰に加えて、パーパスを体現した社員を評価する、「ベストスマイルアワーズ」という表彰制度も生まれました。

PRAISECARD17依田 これは大きい改革ですね。まとめになりますが、オンワードコーポレートデザインの組織改革というテーマで、パーパスを作る前に課題だったことがどう改善されたかということを検証させていただくと、まさに、ほとんど全部改善されていますよね。

PRAISECARD18まず1つ目の人材育成確保に関する課題に関しては、パーパスをボトムアップ型で作り、新しい成功体験のあり方を検討し、先ほどの表彰制度までを整備した。 

次に、社員発の事業アイディアを創出する仕組みを構築して、実際、プロジェクトチームで新規事業に取り組んだ。 

3つ目は、これ三島さんにとても関係があるのですが、ブランド価値を高める情報発信の体制ができた。具体的には、広報室が設置されました。 

あと最後が、最近リリースされたばかりの話ですが、営業スキームの構築をされたということで、DX人材を新たに採用されて、DX推進室を設置した。 

そして、これら一連の組織改革の中で、大きな機能を果たしたツールが「PRAISE CARD」だったわけです。 

_A7A7181本日は、「成長循環モデル」を効果的に実践するためには、どんな考え方で、どんなふうに取り組んでいけばいいのかを、小谷野さん、三島さんとご紹介してきましたが、「PRAISE CARD」に関しては、無料トライアルを実施していますので、ご興味のある方はぜひ、お声がけいただきたいと思います。本日はご参加ありがとうございました。 

博報堂グループでは、自走する人材を増やし、組織を強くするクラウド型称賛カード「PRAISE CARD」 を提供しています。⇒サービス紹介ページはこちら

プロフィール

依田 真幸依田 真幸

株式会社博報堂コンサルティング
プロデューサー

大学卒業後、タレントマネジメント会社にて営業職を経験後、広告をはじめとしたコミュニケーションプランナーに転身。 飲料メーカー、商業施設、大手旅客サービス、アパレルブランド、官公庁などの多岐に渡る広告コミュニケーションに関する企画立案から実施まで一貫して担当。 メディア起点でない、ニュートラルなコミュニケーションデザインを得意とする。 博報堂コンサルティングでは、企業内組織改革やパーパス・バリュー浸透プロジェクトなどのコーポレートブランディングを支援。自走する強い組織にむけた研修やサービスを開発。

 

小谷野 圭司小谷野 圭司 氏

BIPROGY株式会社
グループマーケティング部 企画推進室 室長

大学卒業後、日本ユニシスに入社し、社員教育、業務/ITコンサルティング、新規事業開発などに従事。 現在はマーケティング組織に在席し、現場と一体となった顧客DXや新規事業開発支援などに携わる。社会人としてのキャリアを教育からスタートしたため、コンサルタント時代はBPRだけでなく人事制度策定も担当するなど、人材にフォーカスしたアプローチを得意とする。

 

三島 菜々子三島 菜々子 氏

株式会社オンワードコーポレートデザイン
広報

新卒でオンワード商事に入社し、営業経験後、人財へ異動。新卒採用を担当しながら、ボトムアップで動画社内報配信や広報組織の立ち上げなど、組織開発に日々挑戦中。

logo

BIZ GARAGE 編集部

ビジネスをとりまく環境の大きな変化により、最適な手立てを見つけることが求められる現代。
BIZ GARAGEのコラムでは、生活者の心を動かし、ビジネスを動かすために、博報堂グループのソリューションや取り組みのご紹介、新しいビジネスの潮流などをわかりやすく解説しています。

強い組織づくりに関心のある方へ
博報堂グループでは、自走する人材を増やし、組織を強くするクラウド型称賛カード「PRAISE CARD」 を提供しています。組織内に称賛文化が定着していくことで、越境人材を育て強い組織づくりをサポートします。

タグ一覧