DXが急速に社会全体に浸透する中で、企業のマーケティング活動におけるデータ活用・テクノロジー活用が進んでいます。
しかし、自社のマーケティング活動を高度化させたいという経営層のニーズに対して、現場レベルでのマーティングシステムの導入・運用は容易ではありません。
自社のマーケティング戦略や施策プランニング、データ活用方針などを踏まえず、システムやテクノロジーありきで導入を進めたことで、運用フェーズに入ってから課題に直面する企業が多数存在しているのです。
そうした課題を解決し、マーケティングシステム基盤の構想策定・アセスメントを行うサービスが「HAKUHODO Marsys Assessment (博報堂 マーシス・アセスメント)」です。
データやテクノロジーを活用したマーケティングを通じて、事業をグロース(成果)につなげるためには何が必要か?そして、マーケティングシステム基盤をアセスメント(客観的に評価・査定し、最適な構想を策定)するとは何を意味するのかについてご紹介します。
目次
マーケティングシステム領域の課題とは?
近年、新たなマーケティングツールやテクノロジーが次々とリリースされ、企業から「マーケティングシステム基盤を作るにあたって、どれが自社にフィットするか判断できない」というご相談が増えています。
博報堂マーケティングシステムコンサルティング局は、これまで多くの企業のマーケティングシステム基盤の構築・運用を支援してきました。企業のマーケティング戦略や解決したい課題などをヒアリングし、さまざまなアドバイスをさせていただく機会も増えてきました。
こうした流れを受けて、マーケティングシステム基盤のサポートをパッケージすることで、企業の課題を解決し、ビジネスを加速させることができるのではないかと考え、新たに開発したサービスが「HAKUHODO Marsys Assessment(以下、HMA)」です。
D2Cのサービスやプラットフォーム立ち上げにおける課題
これまで多くの企業の課題をヒアリングしてきた中で、代表的なものをいくつか紹介します。
例えば、新たなD2Cサービスでこれまでにない顧客体験の提供を目指すなど、サービスやプラットフォームを立ち上げるにあたって、システム化構想の策定が必要なケースがあります。
そこには、以下のような課題が存在します。
- システムアーキテクチャ全体を俯瞰した、最適なマーケティングシステムの検討ができず、どのようにシステムを見直せばよいかわからない
- 同一企業内に複数の事業部があり、事業部ごとにデータがサイロ化してしまう
- 各部署のシステム間の連携がとれていないため、データの統合や統一的な分析、活用ができない
データ活用の仕組みや業務フローも異なるため、運用リソースの負荷が高く、また、部署ごとにツールやテクノロジーを複数導入しているため、コスト面でも無駄が生じてしまいます。
これらの課題解決には、マーケティングシステム基盤の構築が必要です。ですが、ツールやテクノロジーを導入する前に、下記のような基本方針や構想をしっかりと策定することが極めて重要です。
- 顧客体験やマーケティングを高度化していくためにどのようなデータ活用を行うのか
- どのようなサービスを提供していくのか
その構想から、マーケティングの高度化に向けて必要となる新しいデータをどのように集めるか、どのように蓄積するかといった、具体的な検討課題が導き出されます。
そうした課題を解決し、実効性のあるマーケティングシステム基盤の構築につなげるための要件定義を行うのがHMAの役割だといえます。
マーケティングシステム基盤の構築がなぜ必要か?
次に、マーケティングシステム基盤の構築がなぜ必要か、具体例とともに見てみましょう。
例えば、LINEの企業アカウントに友だち登録している生活者に対して、新商品の告知やキャンペーンなどのメッセージを届けるマーケティング活動をするとします。登録者が100万人以上いた場合、膨大な配信コストがかかってきます。
そこで、配信の無駄撃ちを減らすために、あらかじめメッセージに反応する確度の高い生活者をセグメント抽出することで、効果の最大化やコスト削減につなげることが重要になってきます。こうしたデータ活用に基づくマーケティングの高度化を実現するために、マーケティングシステム基盤の構築は不可欠なのです。
ただし、マーケティングシステム基盤の構築にあたっても課題が存在します。
DXを推進する経営層が導入するマーケティングツールを決定し、いざ運用を始めてみたところ、現場レベルのニーズや課題感と乖離が生じ、マーケティングツールが活用できないというケースが、例として挙げられます。
だからこそ、その企業にとって必要とされ、最適なマーケティングツールは何かを見極める必要があります。客観的に見極め、マーケティングシステム基盤の正確なアセスメントを支援していくことがHMAのミッションだといえます。
企業に最適なマーケティングツールを見極めるには?
続いて、HMAの強みについて紹介します。
企業にとって最適なマーケティングツールを第三者的な視点から見極められることは、HMAの大きな強みだと考えています。それには理由があります。
ベンダーが抜け落ちる俯瞰的な視点
マーケティングツールを提供するベンダーは、ツールがもたらすメリットを企業に提案します。一方で、そのツールが企業のマーケティング活動全体においてどのような影響を及ぼすか、KPIやKGIにどのように貢献するかといった俯瞰的な視点が抜け落ちていることが多い傾向があります。
その点、HMAは、ツールを運用する企業、ツールを提供するベンダーなど、すべての立場を全方位的に見渡し、客観的に問題点を把握したうえで、企業のマーケティング活動全体のロードマップを描き、その中でツールが果たす役割などを緻密に設計することができます。
マーケティング視点で課題にマッチした構想策定
企業がほかにどんなツールを導入しているか、ビジネス課題にマッチしているかといった視点も併せ持ち、客観的に評価・査定し、最適な構想を策定するアセスメントを行います。
また、ツールの知見と生活者視点に基づくマーケティングの知見を併せ持っていること、あらゆることをクライアントファーストで考えられる点も博報堂の強みです。
ベンダーをはじめ、多くのプレーヤーがシステムの導入・運用の支援を行っている中で、企業に寄り添い、マーケティング課題を把握した上でシステム活用の支援ができることはHMAの提供価値だと考えています。
マーケティングシステム基盤のアセスメントサービス|企業のなりたい姿を実現
HMAが提供する、マーケティングシステム基盤のアセスメントサービスの内容を紹介します。
サービス提供にあたって、クライアントの現状を「As Is」として診断し、その現状に対してクライアントが「こうなりたい」と考えている「To Be」を把握します。
そして、「To Be」を実現させるためにすべきこと、すなわち具体的な施策を「Can Be」として提案することがサービスのポイントです。
多くの企業では、「As Is」と「To Be」の間に大きな隔たりがあります。だからこそ、その隔たりを埋めるために、どんなツールの導入が最適か、どんな戦略を立てると効果的かという、ロードマップを描くことを重視しています。
企業が考える「To Be」に合わせてロードマップをカスタマイズし、そのうえで、施策の高度化とROI(投資利益率)を両立するための最適な運用方法・体制などを考慮した実装プランを策定します。
HMAの基本的なアウトプットは、アセスメントのレポートとCan Beモデルのデザインであり、同時にHMAのコアコンピタンスだといえます。
また、目指すべき目標に向けて着実にシステム実装を行い、マーケティング運用を高度化させていくプランを描いたうえで、実効性のあるアジャイルなステップを踏んでいくこともポイントです。
HMAは、マーケティングシステム基盤のアセスメントが完了し、実装・運用フェーズに入った後も支援を継続し、Can Beモデルをより確実に現実化していきます。必要に応じて社内外のエンジニアチームと連携し、テクノロジー面も含めた全体視点で、総合的なアセスメントサービスの提供を行っています。
マーケティングシステムの全領域をサポート
HMAは、フェーズでいうと、システム導入検討〜システム要件定義に位置し、企業がマーケティング活動を高度化するための “入口”のサービスです。
今後はマーケティングシステム領域のソリューションの拡充を図り、システムのライフサイクルに合わせながらソリューションを提供していくことを予定しています。
例えば、システム実装〜オンボーディングのフェーズにおいては「HAKUHODO Marsys Onboarding」というサービスを提供しています。
ソリューションを拡充することで、将来的にはマーケティングシステムの全領域のサポートを目指し、フェーズに応じて最適なリソースを組み合わせながら、トータルな支援体制を継続的に提供していきたいと考えています。
マーケティングシステム基盤の構築はもちろん、システムの実装や効果創出(グロース)まで、さまざまなソリューションをご用意しているので、データを活用したマーケティングを考えている方はぜひご相談いただければと思います。
白子 義隆(しらこ よしたか)
株式会社博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局 局長代理 兼 マーケティングプラットフォーム部 部長
2014年博報堂入社。ビジネスディベロップメント・ディレクター。デジタル領域のビジネス開発に幅広く携わりながら、ビジネス面とテクノロジー面を考慮した全体設計・プロジェクトマネジメントを行う。近年はデジタルマーケティングプラットフォーム/データ基盤領域/サービス開発領域を中心に、さまざまなクライアントのプロジェクトに携わる。
小林 里帆(こばやし りほ)
株式会社博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局 マーケティングプラットフォーム部
2021年博報堂入社。コンサルタント。デジタルマーケティング、CRM領域のコンサルタントとして、顧客データを活用したマーケティング戦略から、アプリ・CDP・MAなどのマーケティングシステム構想、運用支援まで一気通貫で幅広くプロジェクトに携わる。
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